正義より出世「撃てない警官」 視聴者が「面白い」と感じるワケ

[ 2016年1月23日 10:45 ]

田辺誠一

 人気ジャンルである “警察ドラマ”の中で、正義より出世を優先する警察官を描いた「撃てない警官」(WOWOWプライム・毎週日曜よる10時)が注目を集めている。

 安東能明氏の同名小説が原作。ある事件がきっかけでキャリアに傷がつき異動を命じられた柴崎令司(田辺誠一)が、警察組織内でのうごめく出世争いや自分を追いやった者に対する復讐劇が展開される。夫が異動になってしまい新居を建てられるのか心配する妻(中越典子)や、息子(加部亜門)のいじめ問題など、視聴者にとっても人ごとではない家庭の事情も丁寧に描かれておりドラマに深みを与えている。

 データニュース社(東京)が行なっているWOWOW視聴者(対象1000人)のアンケート「WOWOWウォッチャー」によると、これまでにない出世欲むき出しの主人公が意外と好評。「設定やストーリー展開が面白い」(男性、34歳)、「出世と正義のはざまに揺れる葛藤に興味がある」(男性、73歳)、「単なる勧善懲悪ではなくダーティーな側面を持つ主人公が面白い」(男性、58歳)など、市民の味方でヒーロー的なイメージが強い刑事ドラマの主役の型を完全に逸脱したところに視聴者が新鮮さを感じている。

 同アンケートでの視聴者の初回満足度は3・93(5段階評価)と高満足度の基準3・7を上回る高数値。単純比較はできないが、1月クールの地上波ドラマ(対象3000人・1月17日までのドラマで集計)で初回満足度トップの「フラジャイル」「ナオミとカナコ」(ともにフジテレビ)の3・86を上回る数値。地上波とは違ったルートで独自展開を突き進むWOWOWが、また新境地を開拓した。

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2016年1月23日のニュース