蟹江敬三さん死去 渋く光る脇役、5日に遺作「おとり捜査官」放送

[ 2014年4月5日 05:31 ]

死去した蟹江敬三さん

 希代のバイプレーヤーとして活躍した俳優の蟹江敬三(かにえ・けいぞう、本名同じ)さんが胃がんのため先月30日午前8時27分、都内の病院で死去していたことが4日、分かった。69歳。東京都出身。家族の希望により2日に近親者のみで密葬を済ませた。喪主は妻綾子(あやこ)さん。後日お別れの会を開く。蟹江さんはがんの闘病中に入退院を繰り返しながらも仕事を続けていた。

 知人によると、蟹江さんは昨年12月に約2週間、テレビ朝日の土曜ワイド劇場「おとり捜査官・北見志穂 “幸福の絶頂”美女連続殺人!」の撮影に臨んでいたが、年末から入退院を繰り返していた。約1週間前に体調が悪化し、再び入院。その際、仕事先の関係者へ自身が胃がんであることを伝えていた。

 高校時代に観賞した舞台に開放感を覚え役者を志した蟹江さんは、映画やテレビでは悪役専門。80年代からは刑事ドラマなどで善人役も演じるようになり、名バイプレーヤーの地位を確立させた。

 最近では昨年ヒットしたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」で能年玲奈(20)演じるヒロインの祖父役や、NHK大河ドラマ「龍馬伝」で岩崎弥太郎の父岩崎弥次郎役などで“気のいいお父さん”として親しまれていた。

 声の仕事でも評価されテレビ東京「ガイアの夜明け」が放送を開始した02年からナレーションを担当。仕事を終えたサラリーマンを好奇心の世界へいざなった。ただ、昨年末から収録を休みがちになり、今年1月の放送から高橋克実(53)、寺脇康文(52)、長塚京三(68)、古谷一行(70)らが代役を務めていた。

 遺作となったテレビ朝日「おとり捜査官」はお悔やみのテロップを流し、5日に予定通り放送される。

 ◆蟹江 敬三(かにえ・けいぞう)1944年(昭19)10月28日、東京都生まれ。高校卒業後、劇団青俳に入団。68年に演出家蜷川幸雄氏らと「現代人劇場」を結成。刑事ドラマ「スケバン刑事2」や「大江戸捜査網」「影の軍団3」など時代劇の脇役として活躍。長女の栗田桃子(40)、長男の蟹江一平(37)も俳優。

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