最後まで「まだ足りない」 住大夫引退公演始まる

[ 2014年4月5日 20:55 ]

 人形浄瑠璃文楽の浄瑠璃語り(太夫)で人間国宝の竹本住大夫(89)の引退公演が5日、大阪・国立文楽劇場で幕を開けた。住大夫は「通し狂言 菅原伝授手習鑑」の「桜丸切腹の段」で、死にゆく桜丸の悲運を嘆く妻、父の心情を切々と語り、満員の観客を魅了した。

 住大夫が登場すると、客席から一斉に拍手が起こり「日本一!」のかけ声。低く、厳かに語り始めた住大夫は、息子を助けたい親の胸の内などを丁寧に語った。

 出番後には「好きな演目だが、まだまだ足りないところがある。期待に沿えるよう、日々努めたい」と、稽古の鬼と呼ばれた住大夫らしいコメントを発表。東京都世田谷区の女性会社員(45)は「心に染みるものがあった。(引退は)寂しいの一言」と、残念そうに話していた。

 住大夫は2月に「今までやれていたことができなくなった」と引退を表明。5月の東京・国立劇場公演を最後に、舞台を降りる。

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2014年4月5日のニュース