悪役、刑事役で渋く光った蟹江さん「役は“なる”もの」が信条

[ 2014年4月5日 05:32 ]

死去した蟹江敬三さん

蟹江敬三さん死去

 先月30日に胃がんのため亡くなった俳優の蟹江敬三さん(享年69)は、もともとは引っ込み思案だった。

 高校時代に観賞した舞台に開放感を覚え役者を志した。72年に「劇団・櫻社」を一緒に立ち上げた蜷川幸雄氏(78)の演出の舞台で名を上げ、映画やテレビでは悪役専門。しかも常軌を逸した凶悪犯ばかり。それが80年の日本テレビ「熱中時代第2シリーズ」の巡査役を転機に善人役も演じるようになり、89年のテレビ朝日「さすらい刑事旅情編」の刑事などで名バイプレーヤーの地位を確立させた。

 信条は「役は“作る”ものではなく“なる”もの」。中でも強烈な印象を残したのが日活ロマンポルノだった。主役級で出演した「犯す!!」の強姦(ごうかん)魔や「赤線玉の井 ぬけられます」のヒモなどねちっこい役で「強姦の美学」と呼ばれるまでになった。

 そんな蟹江さんを高く評価していたのが昭和を代表する名優勝新太郎さん(享年65)。71年の初監督作品「顔役」で主役の殺し屋に抜てきされた。蟹江さんは「笑いながら人を殺す」という勝さんの演出が新鮮だったという。

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2014年4月5日のニュース