海老蔵 父と獲った栄誉「生きてたら喜んでくれただろうな」

[ 2013年9月4日 06:00 ]

映画「利休にたずねよ」がモントリオール世界映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞し、記者会見で笑顔を見せる千利休を演じた市川海老蔵=3日夜、東京・銀座

 カナダで開催されていた第37回モントリオール世界映画祭の授賞式が2日(日本時間3日未明)に行われ、市川海老蔵(35)主演「利休にたずねよ」(監督田中光敏、12月7日公開)が最優秀芸術貢献賞を受賞した。日本映画の同賞受賞は90年「式部物語」(監督熊井啓)以来23年ぶり。

 千利休役の海老蔵はこの日夜、歌舞伎座(東京・東銀座)で公演を終えて会見。開始予定時間を15分遅れての登場に「お茶をたてて飲んでました。ブログにもあげちゃった」とニヤリ。笑いの絶えない“らしさ”全開の会見となった。

 今年2月に肺炎のため66歳で亡くなった父市川団十郎さんの話になると表情が変わった。団十郎さんは、利休の茶の師匠役で出演。最初で最後の父子共演の映画に「父との思い出の作品。生きてたら(受賞を)喜んでくれただろうな」。

 昨年11~12月、京都市太秦で撮影。団十郎さんは、同市の南座で公演中で「芝居の合間に来てくれた。体調は良くなかった。そんな中での父とのやりとりが忘れられない。勉強になったし、いろんなものをくれた。父との思い出の作品が残っただけでうれしいのに、こんな賞まで…」と喜びをかみしめた。

 直木賞を受賞した山本兼一さんの同名小説が原作。千利休の美への情熱と若き日の秘められた恋を描いている。海老蔵は「日本の文化、茶の美しさを、海外の方が評価してくれてうれしい」。映画挑戦3作目で初の映画賞受賞。あくまで歌舞伎俳優を本業と強調するが、映画など他分野への挑戦は今後も続けていく意向。「“海老蔵”のうち、若いうちは(歌舞伎以外にも)踏み込んでいきたい」と意欲的だった。

 ▽モントリオール世界映画祭 北米ではトロント国際映画祭と並ぶ規模で、77年から毎夏カナダ・モントリオールで開催。最高賞のグランプリを競うのがワールドコンペティションの長編部門。グランプリに次ぐ審査員特別賞や最優秀監督賞など8部門ある。

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