辛坊氏 出航5日で無念のリタイア 浸水時は「寝ておりました」

[ 2013年6月22日 06:00 ]

会見の冒頭、深々と頭を下げる辛坊氏(手前)

 小型ヨットでの太平洋横断に挑戦していたニュースキャスターの辛坊治郎氏(57)と全盲のセーラー岩本光弘さん(46)の事務局から21日朝、「船内に海水が浸入した。救助してほしい」と、海上保安庁に緊急通報があった。2人は太平洋上に取り残されたが約10時間後、海上自衛隊の救難飛行艇に救助された。

 辛坊氏と岩本さんを乗せた海上自衛隊の救難飛行艇は、午後10時半すぎに神奈川県の厚木基地に到着。待ち構えた報道陣に辛坊氏は、こわばった表情で3度頭を下げ建物の中に入った。

 浸水発生時について辛坊氏は「恥ずかしい話で寝ておりました。記憶にあるのは岩本さんの“浸水している”という叫び声でした」と説明。救命ボートに移った後は「2人で体を寄せていても体温が下がるのが分かった。水も食料も1週間分あったが、あすまで体温が持つか不安だった。一刻も早く逃げないと沈む。それしか考えていなかった」(辛坊氏)と恐怖の時を語った。

 海自の救助ボートの音が聞こえ「帰れる、と思った」と救助時の様子を安どしながら振り返り、海自への感謝の言葉を何度も繰り返した。

 2人は、全盲の人と健常者のペアでは世界初となる太平洋横断を目指し8日に大阪市内のヨットハーバーを出発。練習のため福島県いわき市の小名浜港に寄港し、16日に米サンディエゴを目指し出港。約55日間をかけ約8200キロ先を目指した航海は、小名浜をたって5日で無念のリタイアとなった。
 

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