染五郎大ケガ　舞台３メートル下へ転落し右側頭部強打

松本幸四郎邸前に集まった報道陣

　歌舞伎俳優の市川染五郎（３９）が２７日午後６時４０分ごろ、東京都千代田区の国立劇場での舞踊公演中に舞台後方のセリから約３メートル下の奈落に転落、右側頭部を強打して救急車で都内の病院に搬送された。関係者によると意識はあるが、公演はそのまま中止され、２８日も休演する。

　転落事故が起こったのは開演して４０分ほどが過ぎたころだった。父・松本幸四郎（７０）の古希記念舞踊公演「松鸚会（しょうおうかい）」の第一夜。染五郎は自らの半生をモチーフにした創作おどり「あーちゃん」を発表。この日は出番がなかった幸四郎がサプライズ出演で観客を沸かせた直後、鼓を打ちながら後方に下がっていて３メートル下の奈落に落下した。

　突然消えた染五郎に客席はざわめき、すぐさま幕が下りた。公演中止を告げる場内アナウンスが流れて、会場も騒然となった。頭を強打して動けなくなった染五郎はただちに救急車で搬送されたが、東京消防庁によると、意識はしっかりしていたという。

　港区の幸四郎の自宅には報道各社が駆けつけたが、インターホン越しに女性が「（幸四郎は）帰宅しているが、対応することはありません。命に別条はなく、意識もあります」と説明するにとどまった。

　松鸚会は日本舞踊松本流宗家が舞踊を披露する会で、今回が１０回目。染五郎は「家元・錦升」として新ジャンルの舞踊に取り組んだ。５歳の長女も「松田美瑠」の芸名でデビューを飾るお披露目舞台でもあった。長女は冒頭、父とともにピンクのドレス姿で登場。後半では歌も披露する予定だったが、公演中止でそれもかなわなかった。また染五郎の姉の松本紀保（４０）も出演していた。