[ 2010年3月15日 06:00 ]

東京フィルハーモニー交響楽団

 さらに今作は「リング」の中で唯一、合唱が使われていることも大きな特色。新国立劇場合唱団は、現在国内では屈指の実力を持つコーラスと評価する専門家は多い。それは、合唱指揮者・三澤洋史の本場仕込みの鍛錬によるところが大といえよう。ベルリン芸術大学で学んだ三澤はバイロイト音楽祭で99年から03年まで合唱の指導スタッフを務めた。往年の名合唱指揮者ノルベルト・バラッチュの薫陶も受けており、ワーグナーの最円熟期に書かれた「神々の黄昏」に織り込まれている複雑かつ高度な合唱技法を本当の意味で理解している数少ない日本人指揮者のひとり。とりわけ第2幕では彼の手腕と新国合唱団の実力がいかんなく発揮される機会となることは間違いないだろう。

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2010年3月15日のニュース