[ 2010年3月15日 06:00 ]

ダン・エッティンガー

 そして「神々の黄昏」では、これまでにも増してオーケストラが重要な役割を果たす。今回ピットには4作通しでダン・エッティンガー指揮、東京フィルハーモニー交響楽団が入る。「リング」初挑戦のエッティンガーは、これまで手堅い音楽作りで上演成功の原動力となってきた。しかし、「神々の黄昏」では単なる手堅さ以上のもっと踏み込んだ表現と響きの構築が要求されることから、彼と東京フィルのコンビにとっては、まさにその真価が問われる正念場といえよう。特に04年のプレミエ公演では、NHK交響楽団(準・メルクル指揮)が、いかにもワーグナーにふさわしい重厚かつ安定感のある演奏を繰り広げ、高い評価を得ているだけにそれとの比較はどうしても避けられない。このコンビがN響とは一味違ったワーグナー・サウンドを聴かせることが出来るのかどうか、これも大きな注目ポイントといえよう。

続きを表示

2010年3月15日のニュース