「田中絹代賞」余貴美子 「程よいバカ」で常に刺激

[ 2009年1月22日 06:00 ]

 【毎日映画コンクール 田中絹代賞】「映画と添い遂げた」といわれた田中絹代さんの名前を冠した権威ある賞に、余貴美子(52)は「世の中には信じられないことが起こるものですね。恐れ多いことです」と背筋を伸ばした。

 共演の機会はなかったが、新しい仕事に入る度に田中さんが出演したビデオを何度も見て勉強を重ねてきたという。「とてもまねしようとしてできるものではありませんが、“山椒大夫”や“サンダカン八番娼館 望郷”などを見て、座り方やたたずまいを参考にしていました。滅私奉公でもしたかったほどですよ」
 自由劇場、東京壱組の看板として舞台で活躍した後、80年代半ばから映像の世界に身を転じた。故神代辰巳監督の「噛む女」で強烈な印象を残したのはもう20年も前のことだ。98年には「あ、春」「学校3」で助演賞を受賞。以来、多くの作品に出演して異彩を放ってきた。昨年も「おくりびと」「まぼろしの邪馬台国」「丘を越えて」などで存在感を示した。
 「演技にはレシピも方程式もない。毎回初めて出合う役にもだえ苦しんでいます。自分の限界を知っちゃうと悩んじゃうし、“程よいバカ”が一番。根性、勇気、執念、そして肉体的なスタミナで、生きている人間を演じるのが私の仕事」
 等身大の役には興味がわかない。「自分と違えば違うほど面白いし、キャラクターアクターと言われるとうれしい」と常に刺激を欲している。

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2009年1月22日のニュース