ボクは「虚構の暴走列車」…小室被告初公判

[ 2009年1月22日 06:00 ]

報道陣の前を歩いて大阪地裁へ向かう小室哲哉被告

 著作権譲渡をめぐる5億円の詐欺罪に問われた音楽プロデューサー小室哲哉被告(50)の初公判が21日、大阪地裁で始まった。罪状認否で小室被告は「おおよそ合っています」と述べ、起訴事実を認めた。検察側は借金総額が約18億円だったことを明らかにした上で、小室被告の転落のきっかけが前妻の歌手Asami(33)との離婚だったことを示した。今後は弁護側の情状立証が焦点で、妻のKEIKO(36)も証人出廷する。

 小室被告は黒のジャケットにベージュのタートルネックのセーター。長かった金髪も短くし、黒っぽく染めた。
 家賃210万円のマンションを引き払い、都内の知人宅で居候の身。人定質問で裁判長から住所確認された際、どう返答したらいいか分からず3回も答え直した。だが、職業を問われると「音楽家です」と即答した。
 絶頂期の97年に年収25億円、生涯収入で100億円を超えたといわれる小室被告。検察側冒頭陳述では不動産購入や多額の遊興費で収入の大半が消え、05年には年収が5000万円に減っていたことが明らかにされた。
 さらに裁判長の指示で検察側は通常、要旨しか読み上げない供述調書などの提出書面のほぼ全容を朗読。その中で小室被告が経済的に崩れだしたのは02年3月にAsamiと離婚した時期だったと示した。
 調書によれば、KEIKOとどうしても再婚したいため「経済的に厳しいのは分かっていたが、多額の慰謝料と長女の養育費に同意した」という。Asamiの供述調書によると01年末に浮気相手がいることが発覚。3億7780万円の慰謝料と毎月200万~390万円の養育費を払うことになったが、香港での事業失敗などで翌03年から滞り、05年には著作権使用料の分配金が差し押さえられた。
 そして、KEIKOと再婚してさらに借金は膨れあがった。「破たんへの坂道を下っているのは分かっていた。でも豪華な生活で彼女が喜んでくれるし、実家への体面もあり、結婚1年目は人生で最もぜいたくをした。湯水のように、ブランド品、ベンツ…全部で数億円を使ったと思う」。そんな生活から「以前に比べて曲作りの意欲もなくなっていった」という。
 今回の詐欺事件の被害者ともめた際、逆に相手を告訴したことについても、KEIKOに知られたくなかったためで「被害者の逆鱗に触れてしまった」と反省。利息だけで月3000万円に上る借金を抱えたまま、月500万~600万円の暮らしを続けた自身を「虚構の暴走列車」と例えた。次回は3月12日。

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2009年1月22日のニュース