西武・武内 12球団新人一番乗り1勝! 初登板初先発7回零封 壁当てで磨いた制球力でプロの壁破った

[ 2024年4月4日 05:30 ]

パ・リーグ   西武3-0オリックス ( 2024年4月3日    ベルーナD )

<西・オ>7回、ゴンザレスを空振り三振にしとめる武内(撮影・沢田 明徳)
Photo By スポニチ

 西武のドラフト1位・武内夏暉投手(22)が3日のオリックス戦で、12球団新人で最速となるプロ初勝利を挙げた。先発して7回を投げ1安打無失点、7奪三振の快投。プロ初登板の重圧にも動じることなく、得意とする内角球を投げ切り、同じ福岡県出身で1学年下の山下舜平大投手(21)に投げ勝った。リーグ3連覇中の王者に快勝し2連勝。4勝1敗で貯金を3とし、単独首位に浮上した。

 針の穴を通す制球力に、新人とは思えない落ち着きぶり。独特の雰囲気に包まれた初の先発マウンドにも武内は冷静だった。初回1死一塁。杉本から内角149キロ直球で見逃し三振を奪い「ホッとした。あの見逃し三振で一番落ち着いたし、波に乗れた」と快投劇の幕が上がった。

 7回を85球で1安打無失点。二塁すら踏ませない衝撃デビューだ。圧巻は4回。クリーンアップを迎え、杉本を149キロ直球、森はスライダー、頓宮を150キロ直球で3者連続空振り三振に斬り「中軸なので思いっきり投げた。腕が振れたからこそ三振が取れた」と振り返った。打者24人中、16人に初球ストライクで有利に勝負を進め、3連覇中のオリックス打線を完璧に料理。投げ合った同じ福岡出身の山下は制球難で6回途中2失点で降板しただけに、「絶対先制点を与えない気持ちだった。自信になりました」と胸を張った。

 最大の武器である制球力は、少年時代に壁当てを繰り返した自宅の駐車場から生まれた。学校から帰れば壁に向かって投げ込むことが日課。壁の右側には父の自家用車が止められていたため、制球ミスは厳禁な状況だった。「ストライクゾーンぐらいの細い印を狙って練習した。制球が良くなったのは、そこが原点」。壁のレンガ部分に当てる失投で「車にボールが当たってしまったこともあった」と笑うが、自宅の穴にボールを通す漫画「巨人の星」の星飛雄馬ばりの世界観で指先の感覚を研ぎ澄ましてきた。

 新人の初登板初先発での勝利は球団史上8人目で、今季の12球団新人では初勝利一番乗りとなった。松井監督は「初登板とは思えない堂々とした投球だったね」と絶賛。ウイニングボールは両親に渡す。「ここまで支えてくれたので、ここから恩返しできるように頑張っていきたい」と武内。黄金ルーキーが無限の可能性を感じさせた。(福井 亮太)

 ◇武内 夏暉(たけうち・なつき)2001年(平13)7月21日生まれ、北九州市出身の22歳。折尾東小3年から軟式野球を始め、八幡南では1年秋からベンチ入り。国学院大では2年秋から東都リーグで登板し、3年秋に4勝を挙げMVP&リーグ優勝に貢献した。通算成績は36試合で14勝7敗、防御率1.58。1メートル86、90キロ。左投げ左打ち。

 ≪西武新人7回以上零封は3人目≫ルーキーの武内(西)が先発7回無失点でデビュー戦初白星。西武の新人で初登板勝利をマークしたのは、22年3月29日日本ハム戦の佐藤隼以来10人目。先発では8人目になるが、7回以上を投げて無失点は81年4月7日日本ハム戦の杉本正(9回完封)、22年3月26日オリックス戦の隅田(7回無失点)に次いで3人目。

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年4月4日のニュース