阪神・村上 7回完全 球団初快挙あと6人もプロ1勝お預け「次、自分が迷惑をかける」被弾の石井かばう

[ 2023年4月13日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神2―1巨人 ( 2023年4月12日    東京D )

<巨・神>7回パーフェクトの投球を見せた村上(撮影・大森 寛明)
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 これがプロ未勝利の3年目右腕なのか。東京ドームが衝撃に包まれた。2年ぶりに先発した阪神・村上が、7回パーフェクトの快投。指揮官の判断で快挙こそ幻となったが、24歳右腕は決断を冷静に受け止めた。

 「(7回を終えて交代を告げられたときは)普通に、“交代か”みたいな感じでした。7回を投げ切れたことがよかったですし、もう1イニングとかそんなガツガツと思っていなくて。目の前(のイニング)だけをしっかり考えて投げていました」

 最速148キロの直球にキレがあるからこそ、カットボール、フォーク、ツーシームと他の球種も生きる。投球時の脱力、軸足となる左足の着き方、グラウンドでの心構え…。昨オフ、青柳との合同自主トレで学び、習得したことをプロ初対戦の巨人相手に見せつけた。「真っすぐで押し込めましたし、自主トレからやってきた青柳さんとの形が、ちゃんと結果に出た」。念願だった岡本和との対決も、2打席無安打、1奪三振。「すごいバッターですけど、本当に打たれたくない気持ちが強かった」と汗を拭った。

 8回に2番手・石井が一発を浴び、プロ初勝利の権利は消滅。それでも全く意に介さず、降板後は同期入団の25歳右腕に声をかけた。「本当に気にしないでください。次、どうせ自分が迷惑をかけると思うので」。終盤の攻防は隣同士で見届け、最後は勝利の喜びを分かち合った。

 「(石井さんは)ホームランを打たれた後、3人で抑えたのが、やっぱり凄いですし。これから絶対に助けてもらうと思うし、いろいろ迷惑をかけると思うんで。何とも思わなかったです」

 球団初の快挙とはならなかったが、日本中にその名を知らしめた84球。「自信を持って(次も)投げることができると思う」。次回も当然、先発予定。節目の初勝利が舞い込むのは、そう遠くない。(阪井 日向)

 ◇村上 頌樹(むらかみ・しょうき)1998年(平10)6月25日生まれ、兵庫県南あわじ市出身の24歳。賀集小1年から賀集少年野球クラブで野球を始める。南淡中ではアイランドホークスに所属。智弁学園では1年夏からベンチ入りし甲子園に3度出場。3年春は全5試合完投で優勝。東洋大では1年春からリーグ戦出場で通算12勝。20年のドラフト5位で阪神入団。ウエスタンで新人から2年連続防御率&勝率トップに加え、21年最多勝、22年最多奪三振に輝いた。1メートル75、80キロ。右投げ左打ち。

○…プロ野球の完全試合は22年4月10日の佐々木朗(ロ)まで16人が達成。阪神投手の達成者はなし。阪神投手のノーヒットノーランは04年10月4日、広島戦の井川慶まで9人が達成。巨人相手には40年8月3日の三輪八郎(チーム初ノーヒットノーラン)、65年6月28日のバッキーの2人。巨人投手には沢村栄治に36年9月25日と37年5月1日の2度喫しているが、どちらも完全試合ではなかった。

 ○…村上は入団3年目のプロ未勝利。過去プロ初勝利での達成は65年新人の外木場義郎(広)、87年新人でプロ初登板の近藤真一(中)の2人で、ともにノーヒットノーラン。

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