阪神・森下 強心臓マルチだ 初回の“失態”天敵撃ちで挽回「前向きにとらえて反省もできる」

[ 2023年3月20日 05:15 ]

オープン戦   阪神0-3ヤクルト ( 2023年3月19日    神宮 )

6回1死、左前打で出塁した森下はオスナに声をかけられ笑顔(撮影・大森 寛明)
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 阪神ドラフト1位・森下翔太外野手(22=中大)が19日、ヤクルト戦(神宮)にプロ初の「2番・右翼」でフル出場した。初回無死二塁で出された「進塁打」のサインに応えられず併殺に倒れた一方で、試合後半に2安打してオープン戦の打率は・364に上昇。持ち前の強心臓を見せつけた若虎に、神宮の杜が沸いた。

 虎が何度も苦杯をなめてきた燕の中継ぎエースすら、森下にとっては恐るるに足らず、だ。8回の第4打席。20、21年と最優秀中継ぎ投手に輝いた清水の直球を叩き、痛烈な左前打を放った。

 「打つことに越したことはない。(打てば)そこで前向きにとらえて反省もできる。まだまだちょっとタイミングが合わない部分もあるので頑張りたい」

 チームが昨季、22打数3安打、打率・130と苦しめられた右腕を初見で攻略。6回にもブルペンを支えるベテラン・石山から左前打を放っており、4打数2安打でオープン戦の打率を一気に・364へと引き上げた。これで14日DeNA戦(横浜)から、先発した試合では3戦連続複数安打。止まらぬ快音は頼もしい限りだが、この日の2安打には、初回の失態を取り返したい森下の意地が、少しばかり詰まっていた。

 先頭・近本が左中間二塁打した直後の第1打席。ベンチからの指示は「進塁打」だった。初球をファウルにし、2球目も続けて打って出たが、先発・吉村の好反応に阻まれ投ゴロ。近本が挟殺されたランダウンプレーの隙をついて二塁を狙ったが、森下までもが刺された。無死二塁が一瞬にして2死無走者。続く3番・渡辺諒が直後に左越え二塁打を放ったから、余計に惜しまれるワンシーンとなった。これには改善の余地がある「進塁打の打ち方」も含めて、岡田監督から苦言を呈された。

 「初回なんかはそらあかんわな。打ち方やって。あとのプレー(走塁)なんかシーズン中やったら大変やで」

 「2番」での起用は、より多くの打席を回したいという指揮官の“親心”。公式戦で同様のつなぎ役を任せられる可能性は極めて低いとはいえ、どの打順に座っても、進塁打を求められる緊迫した場面はきっと来る。同じ轍(てつ)は踏まない。挽回マルチで証明した強心臓で、失敗も、成功も、全てを血肉へと変える。(八木 勇磨)

 【データ】阪神打線は昨季清水(ヤ)と29打席で対戦。島田、原口、坂本が各1安打の23打数3安打、打率.130と苦しんだ。初対戦の20年から通算でも110打数22安打の打率.200と苦手な存在。個人別では梅野がチーム最多の通算4安打、打率.571と数字を残しているが、昨季は2度の対戦で併殺打と犠打の無安打だった。

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2023年3月20日のニュース