プロ野球次期コミッショナーに榊原氏就任 元経団連会長がNPBの事業拡大へ

[ 2022年12月6日 05:00 ]

新コミッショナーに就任する榊原定征氏。顔写真(NPB提供)
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 プロ野球の第15代コミッショナーとして東レ社長、経団連会長などを歴任した榊原定征氏(79)が5日、就任した。任期は2年。17年11月からコミッショナーを務めてきた斉藤惇氏(83)は退任し、同顧問に就任。経営畑の先頭を走ってきたリーダーが、コロナ禍に苦しむプロ野球の財政再建に乗り出す。

 まず経営のプロが着目したのは日米の格差だ。「人口、球団数、来場者数はほぼ1/3。それでは球団の売り上げは、というと1/3でなくて1/8かな」。ちなみに日米の人口比較は1億2560万と3億3480万人、球団数は12と30で、総入場者数は約2100万と約6060万人。ただ事業規模に限ればMLBは1兆5000億円、NPBは2000億円と算出した。確かに歴史、組織、行政からの支援、放映権など条件は違うが、榊原氏は「ひょっとしたらアメリカ式を参考にして事業拡大ができるかなと考えています。3対1に近くてもいいんじゃないか」と指摘した。

 幼少時からの一プロ野球ファンから立場は変わったが、球界の健全な発展をリードしていく自負はある。「国際化や野球人口の下降傾向とか、課題はたくさんあるけど…。私の経歴とか経験とか、人脈の中で貢献できるならやってみようという考えです」。経団連会長時代、利益を追求する業界を説き伏せ、日本経済の発展へ政治と経済が一体となって進む道標を切り開いてきた。安倍晋三元首相とは経済財政諮問会議で144回、顔を合わせたという。

 1月下旬、オーナ会議議長を務めていた巨人・山口寿一オーナー(65)らの就任要請に、当時は政財界の要職兼務中とあり保留した。それでも東レ時代の部下である倉持修祥氏、小泉慎一氏がNPB入りチームとして機能することで、5月末に承諾した。

 新体制は全会一致や多数決制は取らず、個別に対処していく方針だ。「大きな方針はオーナー会議で議論してコンセンサスを得る。あとは実行委員会や理事会で議論して実行計画を立てる」。難問が山積するプロ野球のかじを取る。

 新体制は全会一致や多数決制は取らず、個別に対処していく方針だ。「大きな方針はオーナー会議で議論してコンセンサスを得る。あとは実行委員会や理事会で議論して実行計画を立てる」。難問が山積するプロ野球のかじを取る。

 ≪「野球くじ」の導入には否定的≫事業拡大をもくろむ榊原氏だが「野球くじ」の導入には否定的で「ベッティングのようなことは日本では絶対にないという前提で」と言う。米球界では関連して、データ関係のビジネスも盛んだが「(米国と)バックボーンが違う。(他に)需要拡大の余地は十分にあるのではないかと思う。勉強し、報告できることがあれば」と今後の課題とした。
 
 ≪誕生日プレゼントはWBC優勝期待!?≫新任コミッショナーとして、来春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で栗山ジャパンの世界一奪還も期待している。「今度は捲土重来(けんどちょうらい)楽しみにしています」。米国での決勝は3月21日。榊原氏の80歳の誕生日は3月22日とあり「(現地に)行きたいなと思っているので、ぜひ優勝してバースデープレゼントをですね」と笑った。

 ◆榊原 定征(さかきばら・さだゆき)1943年(昭18)3月22日、神奈川県生まれの79歳。名大大学院工学研究科卒。67年東洋レーヨン(現東レ)入社、02年同社代表取締役社長、10年同会長。14年6月~18年5月まで第4代の日本経団連会長、20年6月から関西電力会長。趣味はゴルフとチョウ採集。

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