楽天 執念の8人継投で勝利 2番手・鈴木翔天がプロ初勝利「まさかですね」

[ 2022年8月26日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天7―5ソフトバンク ( 2022年8月25日    楽天生命 )

<楽・ソ>プロ初勝利の鈴木翔(右)は石井監督に祝福されウイニングボールを手にガッツポーズ(撮影・篠原 岳夫)
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 楽天は25日、首位・ソフトバンク戦で今季最多の8投手の継投で勝利。2番手で2回からの2イニングを1失点に抑えた鈴木翔天(そら)投手(26)が待望のプロ初勝利をマークした。18年ドラフト8位で入団した4年目の26歳左腕がチームの連敗を2で止め、4位ながら首位と2・5ゲーム差。上位戦線は混戦模様だが、チーム一丸で白星を重ねていく。

 本人が一番驚いていた。勝利のハイタッチの列にいた鈴木翔は9回を締めた松井裕からプロ初勝利の事実を知らされた。「お前が勝利投手だよ!」。記念球を手渡され、石井監督とグータッチ。ヒーローインタビューを受けて少しずつ実感がこみ上げてきた左腕は「まさかですね」とはにかんだ。

 不測の展開だった。初回に先発・釜田がいきなり4失点。直後に打線が7点を奪い、3点リードの状況で2回から2番手でマウンドに上がった。1イニング目は3安打を浴びて1点を失ったが「打たれてもズルズルいかず修正できた」。3回は3者凡退に抑え、次の投手にバトンをつないだ。

 4回以降は酒居、ブセニッツ、宮森、西口、宋家豪(ソンチャーホウ)、松井裕と継投した。チーム2年ぶり、石井監督では最多の8投手の継投でチームの3連敗を阻止。2回1失点ながら点の奪い合いだった試合を落ち着かせた左腕に白星が転がり込んできた。

 イケメンで女性人気も高い左腕は4年目での初勝利に「長かったような短かったような。野球をやれない時間が長かったので」と感慨を込める。辰己や太田らと同期の18年ドラフト組で大卒・社会人で1年目に1軍デビューできなかったのは自分だけ。富士大では左肘を痛め、プロ1年目の19年は腰痛にも苦しんだ。「うらやましいなと思いながら寮でテレビ(中継)を見ていた」ともどかしさはあったが「負けてられないな」と自らを奮い立たせてリハビリに励んだ。今季28試合目でつかんだ記念の白星。重ねた努力が報われた。

 向上高では3年夏の神奈川大会決勝で東海大相模に敗れて甲子園出場を逃した。大学4年秋は神宮大会の東北地区代表決定戦で東北福祉大に敗れて大舞台にたどり着けず。悔しさを糧にしてきた野球人生に、新たな1ページが刻まれた。「これから巻き返せるように頑張ります!」。お立ち台での決意表明が、仙台の夜空に響いた。(重光 晋太郎)

 ◇鈴木 翔天(すずき・そら)1996年(平8)8月19日生まれ、神奈川県出身の26歳。小学3年から野球を始め、万騎が原中では「瀬谷シニア」に所属。向上では外野手兼投手として3年夏の神奈川大会準V。甲子園出場なし。富士大では1年春から北東北大学リーグに登板し、3年秋に完全試合を達成した。18年ドラフト8位で楽天入団。1メートル85、82キロ。左投げ左打ち。

 《石井監督下では初》楽天は8人の継投でソフトバンクに逆転勝ち。8投手以上の継投勝利は20年10月3日オリックス戦(8人)以来チーム5度目。石井監督下では初だ。この日は4点差をはね返したが、今季の楽天は逆転勝ちがオリックスと並びリーグ最多の26度。うち4点差以上の逆転勝利は3度目でロッテの2度を抑えリーグで最も多い。

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