巨人・戸田がプロ初1勝 20年育成7位の21歳右腕…ピンチも淡々1回1/3を零封

[ 2022年4月3日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人5―4阪神 ( 2022年4月2日    東京D )

<巨・神>プロ初勝利を挙げ、原監督(左)と記念撮影する戸田(撮影・河野 光希)
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 強心臓ぶりを発揮した。4回に1点差に迫られ、なお2死一、二塁での出番。2番手で登板した巨人・戸田は淡々と内角へ直球、カットボールを投げ込み、3番・糸井を2球で三ゴロに打ち取った。

 「ここでやるしかないと割り切って(投げた)。気持ちで負けたくなかった」。5回も続投し、計1回1/3を無失点。後続の救援陣もリードを守り、20年育成ドラフト7位右腕がプロ初勝利を手にした。育成ドラフト出身者では史上最も低い指名順位での白星で、チームを5連勝と単独首位浮上に導いた。

 強い気持ちで道を切り開いた。四国IL・徳島時代はトレーニングは常に先頭。徳島インディゴソックスの南啓介球団社長(39)は「自分のことを淡々とやる子。NPBに絶対行くという思いが一番強かった」と振り返る。先輩がいても動じない。19年途中に加入してすぐに「自分がエースです」と言い切った。

 感謝の気持ちも忘れない。お立ち台では「まず親と関係者の皆さんに初勝利を伝えたい」と笑顔を見せた。東海大菅生2年時の17年には、夏の甲子園でエースとして4強進出に貢献したが、右肘を故障し退学。独立リーグ時代のオフには、フィットネスクラブでトレーナーのアルバイトをして生活費を稼いだ。回り道をした分、周囲の支えのありがたみを知り、力に変えている。

 この日の最速は148キロ。1メートル70と小柄ながら、ダイナミックなフォームで投げ込む。春季キャンプから大きな存在感を見せ、初の開幕1軍を勝ち取った。16年以来6年ぶりの開幕3カード連続勝ち越しに貢献した右腕は、原監督から「思い切りのいいピッチャー。非常に可能性の高い投手」と評価された。

 堀田、赤星、山崎伊ら、若手が開幕からローテーションで活躍する中、負けじと奮闘し「任されたところを一球一球全力で投げたい」。仮契約時には「目標は200勝」と宣言した21歳が、第一歩を踏み出した。(小野寺 大)

 ◇戸田 懐生(とだ・なつき)2000年(平12)7月22日生まれ、愛知県出身の21歳。東海大菅生で2年夏の甲子園に出場し、4強進出も右肘のケガで退学。通信制のKTCおおぞら高等学院を経て入団した四国IL・徳島では2年間プレー。20年には最多勝、最多奪三振でMVPに選出された。同年の育成ドラフト7位で巨人に入団し、昨年6月に支配下登録。1メートル70、73キロ。右投げ右打ち。

 ▼東海大菅生・若林弘泰監督(戸田の恩師) 昨年12月に会いましたが、自信を持っているようでした。当時から身体能力はありました。強いものには向かっていくが、弱いものにはなめてかかるところがあった。コツコツと積み重ねて活躍してくれればと思います。

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2022年4月3日のニュース