阪神・中野 「50盗塁」へ陸上秋本氏に入門 先生も衝撃「今まで見てきた選手の中でもトップクラス」

[ 2022年1月19日 05:30 ]

秋本氏の指導でダッシュを繰り返す中野(撮影・後藤 大輝)
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 阪神の中野拓夢内野手(25)が18日、兵庫県西宮市の鳴尾浜球場で、陸上男子200メートル障害元アジア記録保持者の秋本真吾氏(39)に入門した。2年連続盗塁王獲得へ向けて新走法による「50盗塁」を目標に掲げた。新人選手と2年目選手も参加し、さらなるチームの走塁向上に取り組んだ。

 下半身に不安を抱え、自主トレでも慎重に調整を続けていた中野が、この日はダッシュを何本も繰り返した。見据える先は球団では吉田義男と赤星憲広の2人しか到達していないシーズン50盗塁の大台。臨時コーチとして2年ぶりに登場した秋本氏からはケガなく戦い抜く「エコ走法」を伝授された。

 「(足を)体の真下に置くような感覚です。速く走るとなると、以前は(足を)前に前に、と考えていた。そうなると力が緩くなったり太ももの裏に負担がかかったりする」

 右翼付近で最初に肩甲骨や股関節、腕の振りの確認動作を入念に行った。その後はダッシュのメニューへと移行。「(足を)蹴った時に少し後ろ足が(内側)に曲がってしまうクセがあった」。指摘を受けると早速、改善メニューに着手。ミニハードルや足の着地点を示すマーカーを設置し、足を上げて走る感覚や、正しい場所に足を運んでいく感覚を約1時間半も養った。

 その後は何と約30分間のおかわり特訓だ。ゴムチューブを使用して後ろに引っ張られながら走ることで、陸上短距離選手のような、スピード出力が最大限に発揮できる理想のフォームが完成。その順応性と適応力に足のスペシャリストが驚愕(きょうがく)した。

 「今まで見てきた選手の中でもトップクラス。他の選手だったら何日もかかるのを、この何時間かですぐにできちゃった。すごく感動しました」

 これまで一流のアスリートを指導してきた先生をうならせた。昨年11月に発症した下肢のコンディション不良も順調に回復。「自分の中ではほとんど10割に近いスピードで出せた」。恐怖心が払しょくされたことを明かした。「(昨季の)30(盗塁)では物足りない。この走り方を自分のものにして、50盗塁を達成する」。2年連続タイトル獲得へ向けてロケットスタートへの助走に入った。(石崎 祥平)

 【50盗塁データ】阪神でシーズン50盗塁を達成したのは、吉田義男と赤星憲広の2人だけ。パ・リーグでは20年に周東(ソフトバンク)が50盗塁でタイトルを獲得しているが、セ・リーグで50盗塁は05年の赤星(60盗塁)が最後で、到達なら17年ぶりとなる。

 ◇秋本 真吾(あきもと・しんご)1982年(昭57)4月7日生まれ、福島県大熊町出身の39歳。双葉高、国際武道大、国際武道大大学院修了。400メートル障害のプロ選手として活躍し、引退後はスプリントコーチとして多くのスポーツ選手に走り方の指導を展開。200メートル障害の元アジア記録保持者。21年12月、J3いわきFCのスプリントコーチに就任。

 《サッカー、バスケ選手も指導》秋本氏はスプリントコーチとしてオリックスや阪神を指導したほか、これまで個人では内川聖一(ヤ)、荻野貴司(ロ)、サッカーの槙野智章(神戸)、大島僚太(川崎F)、オナイウ阿道(トゥールーズ)、Bリーグの石井講祐(SR渋谷)、Xリーグの中村輝晃クラーク(富士通)ら多くの競技に及んでいる。

 【異種目指導アラカルト】
 ▽陸上・伊東浩司氏 96年アトランタ五輪4×400メートルリレー5位入賞。96、97年に日本ハムの名護キャンプを訪問。俊足選手のランニングフォームをチェックした。
 ▽合気道・渡辺富夫氏 心身統一合気道会師範。10年に阪神2軍の安芸キャンプを訪問。打席での姿勢や力の入れ方についてアドバイスし、夜には宿舎で講演と実技指導を行った。
 ▽ラグビー・山口良治氏 伏見工ラグビー部総監督。11年に阪神2軍安芸キャンプを視察し練習後の講演会で「ユニホームを着て満足しているようではダメ。甲子園でプレーして初めて阪神の選手になる」と激励。
 ▽陸上・瀬古利彦氏 元マラソン走者でDeNA陸上部総監督。15年、親交のあるDeNA・中畑監督の激励で宜野湾キャンプを訪れ、選手に走り込みの重要性を説いた。(肩書は当時)

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