選手会長として「チームが勝てばいいという重さは大きくなっている」 赤星氏が近本に聞く 新春対談(1)

[ 2022年1月1日 08:00 ]

寅年の始めに近本(右)と赤星氏、2人のスピードスターが対談(撮影・大森 寛明)
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 赤星さんには何でも話しちゃいます!阪神の近本光司外野手(27)がスピードスターの先輩で、阪神OBでもあるスポニチ本紙評論家の赤星憲広氏に初夢を語った。リーグ優勝したら感じられる達成感、シーズン200安打したら見えてくる世界。1番、優勝、タイトル…。寅(とら)年2022年1月1日、近本がイチにカケルのは!!(構成・長谷川 凡記、畑野 理之)

 赤星 あけましておめでとうございます。

 近本 おめでとうございます。また赤星さんとお話しする機会ができてうれしいです。

 赤星 昨年の開幕前にもスポニチ紙面で対談したけど(※1)、それ以来だよね。球場に行っても、今はなかなかグラウンドにまで行けないから。

 近本 あいさつぐらいですもんね。

 赤星 その時に選手会長になったとか、シーズン200安打目指したいとか話していたけど、そのあたりから聞いていこうかな。まずは選手会長を1年やってみてどうだった?これまであまり、チームのことを言わなかったけど。

 近本 言わなかったんじゃなくて、言えなかったんですよ。分からないから。勝ち負けとかは分かるんですけど。1年目は最後に6連勝してCS決めたけど、記憶ないんですよ。どうやって連勝したのかとか。鳥谷さんが打点挙げたのは覚えているけど、あとは何があったっけというぐらい。自分の長嶋さんの記録(※2)のことは覚えているけど、あとはあまり…。それだけ気にしていなかった、チームのことを見られていなかった。自分のことだけで精いっぱいで、でも今は感じる余裕ができたんですかね。

 赤星 間違いなく昨年の1年で変わってきた。役割が人を変えている。

 近本 そうだと思います。選手会長じゃなかったら、こんな感情ではなかったと思います。自分が打たなくても、チームが勝てばいいという重さは、大きくなっています。でもどこかで、選手は個人事業主というのもある。自分の成績で次の年の生活が変わるじゃないですか。優勝以外は、6位であっても2位であってもいっしょ。だから自分の成績を伸ばすことが大きくなってしまうことはありますが、でも優勝はすごく大きいこと、すごくうれしいというのは分かります。

 赤星 絶対に、優勝してもらいたい。優勝したら、見方は変わる。俺も、俺さえ結果出せば給料上がるし、それでチームの結果につながればいいと思っていた。でも優勝して完全に考えが変わったもん。

 近本 え?どうなったんですか?

 赤星 優勝するとチームにこんなに恩恵があるんだとか、世界が変わるというか、周りのファンの人たちもこんなに喜ぶんだと。優勝したから、優勝するためにどうしたらいいのかというふうに考え方が変わった。昨年3月に近本と話したときに常勝チームをつくらないといけないと言ってくれたけど、そのためには、絶対に君たちには優勝が必要。特に今は若い選手が増えたからこそ、優勝したら世界が変わる。見る目が変わる。そうすると、個人の成績を残そうと思うのとプラス何かが出てくる。

 近本 やっぱりそれは、優勝しないと感じられないことですね。

 赤星 そうなんだよ。改めてだけど、昨年はリーグ優勝まであと一歩、惜しい1年だった?

 近本 う~ん、ヤクルトが強かったですね。

 赤星 そう。ヤクルトがすごすぎたから。チームは失速はしていない。貯金の数は前半と後半で減っていないからね(※3)。

 近本 でもヤクルトはずっとチーム打率・255ぐらいありました。僕らは前半・251ですが、後半が・242ぐらいだった。僕らは前半は打ったけど、後半は2安打、3安打零敗とかもあった。3割打者がいなくても、コンスタントに打てる人がいれば勝てるというのを感じました。

 赤星 なんか、選手会長っぽくなったね。チームのこと…という野球の考え方が。我が道を行くタイプと思っていたけど(笑い)。

 近本 僕は我が道です(笑い)。

 赤星 さっきも近本が言ってたけど2位から6位って変わらないのよ。2位だからと言って胸を張れない。考えてみてよ。ゲーム差なしの勝率5厘差で、どんだけV逸、V逸って言われてるんよ。昔だったらそんなこと言われない。“2位でよくやった”だから。弱かったから。でも、しょうがない。毎年毎年、上位争いしてるから、優勝できるんちゃうか、優勝に近づいてきている…から言われてしまう。

 近本 3、2、2位です。

 赤星 先輩として、OBとして言わせてもらうと、優勝を早く知ってほしい。

 近本 (うなずきながら)ところで、一つお聞きして、良いですか?高校ぐらいから“僕が打って勝たせる、僕が打てば勝てる”という認識があって。それがずっと続いていたんですけど、プロになって、そうじゃないとは感じてて。自分が打っても勝てないのが分かった。社会人は5番というのもあったんで打順が、得点圏も多い。打ったら勝てるじゃないですか。でも1番が打ったから勝てるというのはあまりない。そこはどう感じておられましたか?

 赤星 特に去年の後半は、還してもらえない時の歯がゆさもあったと思う。

 ※1 21年3月25日付紙面でリモート対談。

 ※2 159安打で58年長嶋茂雄(巨)の153安打を抜き、セ・リーグ新人記録を61年ぶりに更新。

 ※3 球宴までの前半戦は48勝33敗3分けの貯金15。後半戦は29勝23敗7分けの貯金6。シーズンの貯金21はヤクルトと並びリーグ最多。

 (2)に続く。

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