広島・大瀬良 二足のわらじを覚悟 ローテも選手会長も重責を全う 大瀬良&新井氏新春対談(2)

[ 2022年1月1日 08:00 ]

”輝”と書いた色紙を手にする広島・大瀬良(右)と新井氏 (撮影・奥 調)
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 (1)から続く。

 新 井 自分はそんなに大したもんじゃないけど、大地はどん欲だったからな。ドラフト1位でありながら、謙虚でハングリーさがある。そんな1位選手はボクが見てきた中では数少ない。そう感じたのが、15年の最終戦(10月7日の中日戦、0―3で敗れ、3年連続のCS進出逃す)。大地が最後に打たれて涙した、あの試合。

 大瀬良 はい。

 新 井 その後の選手会納会の時だったかな。あの時はまだ一度も黒田さんと食事を共にしたことがなかったよね。大地が言ってきたんだったっけ。

 大瀬良 声を掛けていただきました。

 新 井 黒田さんに話が聞きたいとなり、その後、手塚(一志=上達屋主宰)さんが入ってきたでしょ。

 大瀬良 そうです。15年にお話をいただいて、直接会ったのは16年の大みそかです。

 新 井 あの時に感じたよね。何かを吸収したいんだって。ドラフト1位は、いい意味でも悪い意味でも“自分”を持っている選手が多いけど、大地には謙虚さがあり、行動につなげたからこそ、ここまで成長できたと思うな。しかも、黒田さんという投手には最高の手本がいた。でも、すべては自分自身よ。黒田さんがいくら参考になるアドバイスを言ってくれたとしても、心に響かなかったら入って来ない。それをチョイスするのは大地自身。誰を選ぶかは。

 大瀬良 はい。

 新 井 石原の愛情のある指摘もあった。“今の大地のストレートでは終わってしまうぞ”だったかな。

 大瀬良 そうです。そういう経緯の中で、石原さんに“黒田さんが(上達屋に)行かれているから聞いてみたら”と。手塚さんにお世話になるにも勇気がいるので、どうしようか迷っていたところ、食事させてもらった席で黒田さんに“体の硬さとか、大地はオレに似ているところが多いので、合うと思うけどなぁ”と言っていただいたのが契機でした。

 新 井 なるほど。

 大瀬良 ただ、いざアポイントを取ってみると、手塚さんのスケジュールは大みそかしか空いていなかったんです。その日、ボクは長崎に帰省中。手塚さんは京都でボクシングの選手を見る仕事があり“試合前の30分間なら時間が取れる”と。それで大みそかの始発で長崎から京都に向かい、体を30分ほど見てもらって“来年からお願いします”と。一日がかりでした。

 新 井 すごいな。それでまた長崎へトンボ返りしたんだ。

 大瀬良 ボク自身、変わらないとダメだ…と思っていたので“時間を少しでもいただけるなら、お話を聞かせてください”と頼んだのが最初ですね。

新 井 今年はどういう1年にしたい? 選手会長という重責を新たに担うけど。

 大瀬良 チームが勝つ。勝てばいい。それだけです。もちろん、その中で自分の成績が付いてくるに越したことはないですけどね。

 新 井 そうだな。

 大瀬良 選手会長として、いろいろ発信したりしないといけない立場なので、成績も残していかないと、言葉の重みに影響するとも思うので。でも、自分のことよりもチームが勝つ、チームがいい方向に行くこと。そこが一番ですね。

 新 井 引き受けるに当たって、やらなければいけないという義務感がどこかにあったのかな。(前選手会長の田中)広輔に“FA宣言せずに残るなら任せたい”と言われていたようだけど。

 大瀬良 やっていかないといけないかな…とは思っていましたけど、それこそ投手が選手会長を務めたケースは少なかったですからね。振り返ると、すごい人(北別府学、佐々岡真司、黒田博樹)ばかりで。ボクに重責が務まるかな…と。

 新 井 黒田さん以来だからね。大地が言うように、投手でも先発が会長をやるのは特に大変だと思う。先発投手にはリズムがあるから。中5日、中6日とか。そこに会議が入ってくるとなると、調整が難しくなるし、リズムが崩れかねない。

 大瀬良 はい。

 新 井 理想を言えば野手がいい。でも、こればかりは…ね。恐らく、アツ(前々選手会長の会沢翼)も広輔も、人選をいろいろ考えて、検討したんだと思う。その中で大地が最も適任だ…と。

 大瀬良 ありがたい話だと思います。

 新 井 ただ、投手だから負担が大きくなる。しかも先発は。中継ぎ投手なら基本、チームに同行するので、名古屋で会議をやります…となっても大丈夫だけどね。

 大瀬良 そうなんですよ。(マツダスタジアムで)残留(調整)があるので、そこが難しい。今年は(先発投手で)ボクだけでも同行しようかな…と思ってはいますけどね。

 新 井 同行すると(調整が)大変だろ。

 大瀬良 大変ではありますけど、ま、でも1年目はほぼほぼ同行していたので、経験はあります。負担に感じることもあるとは思いますが、チームの雰囲気を把握しておきたい…という思いもあるので、この役職を与えてもらった以上、責務は全うしないと。

 (3)に続く。

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