広島・大瀬良 V奪還へ輝き取り戻す 今季31歳もキャリアハイに自信 大瀬良&新井氏新春対談(1)

[ 2022年1月1日 08:00 ]

今季の抱負を新井氏(左)と語った広島・大瀬良 (撮影・奥 調)
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 輝く2022年が明けた。広島の大瀬良大地投手(30)は、自身の進化に大きな希望を抱き、キャリアハイの高みを目指す。スポニチ本紙評論家・新井貴浩氏(44)との新春対談。エースは(1)昨季の挫折から得た新たな発見(2)FA残留と選手会長就任の舞台裏(3)師事する第一人者との出会い秘話(4)新年への意気込み…などを、余すところなく語った。 

 新 井 大地、明けましておめでとう。

 大瀬良 明けましておめでとうございます。

 新 井 昨季は後半戦だけで7勝をマークした。自分の可能性を改めて感じたと思う。

 大瀬良 後半のパフォーマンスを年間通して出せたら…ですね。

 新 井 黒田博樹さんがメジャー挑戦したのは33歳で、そこからまた成長した。そう考えると、大地にはまだまだ伸びしろがある。

 大瀬良 維持しようと思ったら練習もそこに合わせてに…なりますが、上はまだあると思えているので。

 新 井 当然よ。

 大瀬良 若手に負けないぐらい走ったり、トレーニングしたり。

 新 井 今年31歳でしょ。まだまだこれからだって。ピークはまだ先にあるから。

 大瀬良 そのつもりで今はやっています。今年だけでなく、2~5年後のために練習しているつもりです。

 新 井 35、36歳ぐらいにピークを持って行くという気持ちでやった方がいいよ。20秒の休憩を挟み、100メートル走を20秒以内で何十本も走ると聞いた。

 大瀬良 相当にキツいと思いますよ。ボクよりも若い選手が付いて来られない。だから、オレに負けていてはダメだよ…と。行動で示さないと、言葉に説得力もなくなるので。

 新 井 キャリアハイを目指そうか。

 大瀬良 いけるんじゃないかな…と。昨季も、4月に右ふくらはぎを痛めなければチャンスがあったと思いますし、関連してプラスの学びがあるので。

 新 井 夏場に相当追い込んだと聞いた。

 大瀬良 ケガして投げる感覚が全部ゼロになり、プレートも蹴れない感じでした。従来通りのトレーニングをしていては戻らないな…と。キツいけど、トレーナーさんからも“チャレンジだし、負荷はかかるけど、やれば絶対に身になる”と背中を押されて。

 新 井 うん。

 大瀬良 今まで夏場にこれほど追い込んだことがないし登板前日も体がバキバキで動かない。投げられるのか不安に思いながらマウンドに登ると、すごくいいボールが行ったりするんです。

 新 井 なるほど。

 大瀬良 夏場は暑さで体力が落ちる。維持するために練習量を減らしていたけど、めちゃくちゃハードに練習した方がパフォーマンスが上がった。新しい道が見えたと言うか。

 新 井 発見だな。

 大瀬良 発見です。このケガがないと絶対にやっていないので。

 新 井 ボクが38歳で気付いたことを大地は30歳で気付いている。ボクもいいパフォーマンスを出そうと思って夏場は体を休ませていたけど、阪神時代の前年と違ってカープに復帰した15年は出場試合数が激増し、夏場前から一気に体が動かなくなったんよ。成績もガクンと落ちた。その反省から、翌年は夏場でも走って追い込んだら、成績がパッと上がった。今の話を聞くとすごく分かる。

 大瀬良 チャレンジは大事ですね。新しい発見がありました。

 新 井 今年は自分への期待が大きいな。

 大瀬良 はい。発見の中でいいものをつかめたので、引き出しになると思います。

 新 井 昨年は国内FA権を取得し、残留を決めた。行使するか否か悩んだと思う。

 大瀬良 悩みましたね。4月に権利を取得した直後にケガで離脱して、難しいかな…と思ったりもしましたけど、後半戦に盛り返せたので、これなら欲しいと言ってくれる球団があるかな…と。いろいろ考えました。

 新 井 FAは選手が頑張った証だし、権利だからね。移籍するしないは別にして、他球団の評価を聞いてみたいと思うのは当然だと思う。私の場合はぶっ叩かれてしまいましたけど(笑い)。

 大瀬良 いろいろ悩んでいる時に新井さんとか、カープでFA権を取って移籍した人、残った人の会見を全部見ました(笑い)。

 新 井 ボクの場合はFA宣言したらダメだろう…と、自分自身が思っていたからね。何が決め手になった?

 大瀬良 会見で話した通り愛着ですかね。嫁さんが広島出身というのもあったし。

 新 井 優しいな。FAで嫁さんのことを考えるなんて。

 大瀬良 ま、新井さんもそうなんですが、移籍した場合、若い時に黒田さんや石原(慶幸)さんに教わったことを、そのチームの若い子に聞かれると答えないといけない。何かそれは違うな…と思って。自分の人生なんですが、人生の一部分に関わってもらった先輩たちが居て、いろいろ教えてくださった。その教えを伝えていくのはカープがいいな…と。

 新 井 (うなずく)

 大瀬良 金銭的なことで判断すれば別の選択があったかもしれませんが、ボクは野球人としての価値をカープに感じたし、カープの方がボクらしく野球ができると思った。そこが一番ですかね。

 新 井 それが愛着なんだろうね。

 大瀬良 黒田さん、新井さんがカープに復帰されていなかったら、別の決断があったかもしれない。そもそも、FA権を得る立場になっていたかどうかも分かりません。

 (2)に続く。

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