ツインズ・マエケン、最短で来年6月復帰も 右肘“新様式”トミー・ジョン手術で期間短縮期待

[ 2021年9月3日 02:30 ]

ツインズの前田健太(AP)
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 ツインズの前田健太投手(33)が1日(日本時間2日)、テキサス州ダラスで右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受けた。従来の一般的な腱だけの移植ではなく、人工の部品を使ってじん帯を補強する「ハイブリッド手術」。最長1年4カ月とされる復帰までの期間の大幅な短縮も期待され、最短で来年6月に復帰できる可能性もある。

 前田はこの日早朝、ダラスでキース・マイスター医師の執刀で手術を受けた。エンゼルスタジアムで取材に応じた代理人のジョエル・ウルフ氏は「ハイブリッド手術で行われ、うまくいった」と説明。前田は人生初の手術を前に緊張気味だったものの、パドレスのダルビッシュらトミー・ジョン手術経験者に相談して臨んだという。

 一方で、前田が受けたのは、従来のトミー・ジョン手術とは多少異なる「新様式」だった。腱だけの移植ではなく、人工の部品である補強テープ「インターナル・ブレース」を使い、傷ついた内側側副じん帯を補強するもの。治癒にあたって患部の組織の再建にも役立ち、体内の健康な組織を侵さずに肘関節を安定させる効果もある。何より最大の利点は、完治までの期間を大幅に短縮できる可能性があることだ。

 同じ手術は13年に初めて試された。16年8月にはカージナルスのマネスが手術を受け、約9カ月後の17年5月に復帰して8試合に投げた。ウルフ代理人は「22年シーズンはリハビリ」、ロッコ・バルデリ監督も「今の時点では何も分からない。リハビリが進むにつれて、より詳しいことが分かるだろう」と慎重な姿勢を崩さず。しかし、この手術により最長1年4カ月とされる復帰までの期間を9~12カ月に短縮することが期待できるという。

 ツ軍のデレク・ファルビー編成本部長は「願わくば22年の途中に戻ってくれれば」と話した。最短の9カ月なら復帰は来年6月。トミー・ジョン手術の常識を覆す短期間だが、そのためには今後3カ月のリハビリが重要になってくる。

 ダルビッシュやエンゼルス・大谷とは違う前田のハイブリッド手術。どんな成果が表れるか注目される。

 ▽肘じん帯再建手術 損傷した肘のじん帯(内側側副じん帯)を切除し、他の部位から正常な腱を移植する手術。従来の手法なら投手では復帰に1年以上かかる。1970年代に故フランク・ジョーブ博士が考案し、ドジャースの投手だったトミー・ジョンが74年に初めて受けたことにちなみ「トミー・ジョン手術」とも呼ばれる。日本球界では村田兆治(元ロッテ)が最初に受け、以降、桑田真澄(元巨人)、ダルビッシュ有(パドレス)、大谷翔平(エンゼルス)ら、多くの投手が経験した。

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