智弁和歌山・中西 4回無死から流れ呼び戻す6回無失点好救援 中谷監督の教えを最高の舞台で体現

[ 2021年8月30日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会決勝   智弁和歌山9ー2智弁学園 ( 2021年8月29日    甲子園 )

<智弁学園・智弁和歌山>9回2死、智弁和歌山・中西は智弁学園の代打・足立を空振り三振に抑え雄叫びを上げる (撮影・後藤 大輝)
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 最後の打者を空振り三振に仕留めると、智弁和歌山・中西聖輝はうれしさをこらえきれず、両手でガッツポーズをつくった。自校スタンドへ一礼後、全てを解き放ち、喜びに浸った。

 「素直にうれしい気持ち。達成感を感じています。優勝が決まっても堂々と、思っていましたが、あまりにもうれしすぎて感情がこぼれてしまいました」

 2点リードの4回無死一、二塁で救援。犠打で1死二、三塁とされたが、大会を通じてさえ渡ったフォークで2者連続三振。ピンチを断つと、5回以降も反撃を許さず、8三振を奪い6回5安打無失点で逃げ切った。

 いつも険しい表情で投げる右腕が、7回以降は笑いながら投げた。「最後は楽しくというのを、みんなに伝えたかった」。原点にあるのは、中学時代に所属した橿原磯城リトルシニアの水口将士元監督の「エースとして、頼りなさそうに投げる姿をマウンドで見せるな」という言葉。3回戦の高松商戦では、あと一人のところで完投を逃し、中谷仁監督から「何を自分のために野球やっとるんや」と厳しい言葉をかけられた。守れなかった恩師の教えを最高の舞台で最後に体現し「メンタル的にも成長することができました」と胸を張った。

 イチロー氏に「“ちゃんとやりましたよ”と伝えたい」と話した147キロ右腕は、同氏も手に入れられなかった「甲子園優勝投手」の栄誉を手に、次のステージへ向かう。「野球を始めてから、なりたいと思ってきた」とプロ志望届を提出することを明言。名前のごとく、今度はプロとして聖地でまた輝く。(北野 将市)

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