阪神・佐藤輝 虎新人最速弾だZ~ 初安打が本塁打は長距離砲の証 16年ぶり優勝の使者に

[ 2021年3月28日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神9ー5ヤクルト ( 2021年3月27日    神宮 )

<ヤ・神(2)> 1回2死三塁、プロ初本塁打となる2ランを放ち、カメラに向かってポーズを決める佐藤輝(撮影・大森 寛明)
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 阪神のドラフト1位・佐藤輝明内野手(22)が27日のヤクルト戦で衝撃のプロ1号を放った。初回2死三塁から中堅後方のバックスクリーンを直撃する特大アーチ。プロ初安打となる記念の豪快弾は、ドラフト制以降の球団新人では1969年の田淵幸一らのチーム3試合目を抜く史上最速アーチとなった。初披露した「Zポーズ」とともに“輝伝説”が幕を開けた。

 9971人の観衆が、伝説の幕開けを見届けた。開幕2戦目、通算5打席目。佐藤輝は初安打を、大物ルーキーらしく豪快な一発で飾った。

 「やっぱり全然(オープン戦とはうれしさが)違いますね。シーズンで打つことが一番大事なんで。今日、1本目を打ててよかったです」

 初回、2点を先制し、なおも2死三塁。1ストライクから田口の甘く入ったスライダーを仕留めた。「打った瞬間にいったと思いました」と振り返る打球はバックスクリーンを直撃した。巨人・王、西武・清原、横浜(現DeNA)・筒香ら、歴代アーチストたちも記録した初安打が本塁打。球団史に名を残す一発を放ちベンチ前のカメラに向かって、大ファンである「ももいろクローバーZ」の決めポーズである「Zポーズ」も初披露した。

 プロを真剣に志したのは仁川学院高2年時の10月。野球部の同級生とその父が通うジムに自身を誘ってきた。「めっちゃガリガリでした。飛距離を伸ばしたいのもあったし、プレーを変えたいというのはあったんで。走るのが速くなるじゃないですか。そういう面でもいいかなと思って鍛えようと」。食も決して太いわけではなかったが、タンパク質を中心に一日5、6食。10月時点で80キロ前後だった体重は、翌年3月に目標としていた100キロ近くまで増えた。

 成果は飛距離に表れ、翌年春の練習試合では複数試合にわたって本塁打を連発。将来歩む道が確固として描かれ、同時期に有馬温泉で家族、母方の祖父母らが集まった前で「プロに行きます」と宣言。近大での4年間の鍛錬を経て、有言実行した。

 育ててくれた両親へプロ入り後最初の恩返しは「まずは車を…と思っています。10年くらい乗っている車なんで、買ってあげたいなと」。だが、父・博信さんの答えは「今はいいから、1年目活躍したら買ってくれ」。アーチ量産への原動力が、また一つ増えた。

 初のヒーローインタビューでは「今年こそ優勝を目標に、その戦力に少しでもなれるように頑張っていきます!」と05年を最後に遠ざかるVの使者の1人になることを誓った。虎党が盛り上がる中でベンチに引き揚げる際、三塁側スタンドでプロ1号を見届けた両親、祖父母、弟、友人らを見つけると、再び「Zポーズ」。孝行息子の笑顔が最高に輝いた瞬間だった。(阪井 日向)

 《ももクロ・高城れにも大騒ぎ》アイドルグループ「ももいろクローバーZ」の高城れにが27日、自身のインスタグラムのストーリーズを更新。プロ1号を放った佐藤輝の「Zポーズ」披露に大興奮の様子だった。「スポニチさんの記事読ませていただきましたが、もちろん私もしっかり試合観てましたよ!!HRの瞬間も祈るように観てました。Zポーズの瞬間も…。夢のようで画面越しに大騒ぎ!笑 夢と希望を本当にありがとうございます(原文まま)」。23日付の本紙で本塁打を打った際に「Zポーズ」を要望しており、早期の実現に反応した。

 《大応援団の前で一発》記念すべき第1号を“大応援団”も見届けた。開幕戦に続き佐藤輝の両親ら家族に知人も観戦。「バックスクリーンのホームランって初めて見ました。(ヒーローインタビューも)いいもんですね。地元ですからぜひ行きたいです」。宮城県から駆けつけた祖父の勲さんは、7月17日に仙台で開催予定の球宴出場を早くも熱望した。父・博信さんは豪快弾の撮影に成功。「予感がしたから。それで撮ったらドンピシャでした。夢なんかなって」。試合後に孝行息子は「まだ(ボールは)戻ってきていません。両親にでもプレゼントしてあげたい」と記念球のプレゼントを約束した。

 《40―40への第一歩》佐藤輝が初盗塁も記録した。7回2死から左前打で出塁すると、打者・梅野の初球にスタートを切り、捕手が投球を捕球し損なったこともあり滑ることなく二塁に到達した。「なんとか次の塁ということで、盗塁決められて良かったです」。昨秋のドラフト指名後に矢野監督から「40(本塁打)、40(盗塁)を狙ってほしい」と期待をされており、NPB初となる「40―40」へ向けた一歩も踏み出した。

 ○…佐藤輝(神)がプロ1号2ラン。12球団新人一番乗りは阪神では19年近本以来。チーム開幕2試合目の1号は56年大津淳に並ぶ65年ぶりのチーム新人最速記録。ドラフト制以降(66年~)では69年田淵幸一、01年沖原佳典の3試合目を更新した。また、プロ初安打で本塁打の阪神新人は17年の大山以来4年ぶり。過去には前出の田淵、他チームでは59年王貞治(巨)、86年清原和博(西)、10年筒香(横)ら長距離砲として大成した打者が名を連ねる。

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