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【内田雅也の追球】「四球後」無安打無失点 「エラー」の後、踏ん張る阪神投手陣

[ 2021年3月7日 08:00 ]

オープン戦   阪神3ー1ソフトバンク ( 2021年3月6日    ペイペイドーム )

<ソ・神>3回1死一、二塁、長谷川を投ゴロ併殺打に抑える青柳(撮影・岡田 丈靖)
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 よく「四球は投手のエラー」といった言い方をする。実際、1880年代、大リーグでは四球も投手の失策として記録されていた。

 もっとも、四球(フォアボール)も当初はボール9個で出塁の「九球」(ナインボール)で、失策として記録されたのは「八球」「七球」「六球」「五球」の時代だった。ともあれ、打者を歩かせるのは、同様に失策と記録した暴投やボークとともに投手の失敗との認識があったわけだ。

 そんな投手にとって最悪な投球は四球で走者を出して、その後に打たれて失点することだろう。

 この点で阪神投手陣は立派だった。6日のソフトバンク戦(ペイペイドーム)。計4四球を与えたが、その後の打者を6打数無安打(1併殺)と封じ込めた。

 先発・青柳晃洋は1回裏2死から安打の後、四球で一、二塁を背負ったが松田宣浩を左飛。3回裏は先頭に安打され、次いで四球で無死一、二塁と大量失点のピンチを背負ったが、中村晃を遊飛、4番の長谷川勇也を外角低めに沈むシュート(ツーシーム)で見事、投ゴロ併殺に切った。

 8回裏にオープン戦初登板した新人・石井大智も1死後、四球を与えたが、動揺は見られず、一ゴロ、三振で切り抜けた投球に頼もしさをみた。

 監督・矢野燿大は四球後の踏ん張りを「もちろん(四球を)出さないのが一番なんだけど。でも、そういうこともできつつあるのは、あるかなと思う」と話した。

 昨季も120試合でチーム与四球371個は中日の340個に次いで少ない。さらに与死球後を踏ん張れれば、失点も自ずと少なくなる。

 前日5日もチームで5四球を与えているが、その後を7打数1安打と封じ零封リレーを完成させている。2試合で四球後は13打数1安打なのだ。

 まだ春浅い調整時期とはいえ、日本一のソフトバンク打線を2試合で、失点はこの日、伊藤将司が浴びたソロの1点に封じているのは、四球後も乱れない投球にある。

 何度か書いたが、牛島和彦(本紙評論家)が横浜(現DeNA)監督に就いた2004年オフ、投手陣に伝えたのは「本塁を与えない」という考え方だった。「四球を与えて“しまった”と思う必要なんてない。四球で満塁にしようが、要は本塁さえ許さなければいいんだ。それぐらいの考え方が必要だと思う」

 ピンチを背負っても踏ん張る姿勢である。この2試合、得点圏に走者を背負っての投手成績は計13打数1安打である。

 阪神今季のテーマは3年連続リーグ最多失策の守備強化だ。昨季は失策絡みの非自責点がリーグダントツの67もあった。

 何度も書くが、野球は失敗の多いスポーツである。問題は失敗の後にどう振る舞うか。いかに失敗を補うかが問われる。エラーの後を踏ん張ることは、誰かの失敗を誰かがカバーするという、野球本来が持つ助け合い(互助)の精神に通じる。

 野手の失策後と同様に、投手自身の失策(四球)後を踏ん張る姿勢に活路を見た思いがしている。=敬称略=(編集委員)

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