ソフトバンク・武田 手術後の新概念「中庸」が実に奥深い

[ 2020年9月14日 09:00 ]

ソフトバンクの武田
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 囲み取材中。何かの法話、どこかのセミナーを聞かされている空気に多少なるが、呼吸は自然と落ち着く。さらに本人も、ここまで至って順調だ。ソフトバンク武田翔太投手が、今季先発3戦目となった12日の西武戦で2勝目を上げた。昨年9月14日の日本ハム戦での登板を最後に同11月に右肘を手術。8月28日の日本ハム戦で初勝利。手術後から変えた“新概念”が功を奏しているという。

 登板前夜に復帰マウンドのテーマを聞くと白マスク越しに「休養です」と聞こえた。聞き直すと「中庸(ちゅうよう)です!」との答え。「偏ることなく常に変わらない」「過不足なく調和が取れている」などの意味で戦国時代の思想や禅道、アリストテレスの倫理学にもつながる概念だ。そして心をぶらさず臨んだ結果、今季1勝。試合後、武田の語りは、止まらなかった。

 「ケガ(右肘)のせいにして結果から逃げていたので、手術が終わってから勉強し、考えを変えた。投球フォーム、間合いじゃない、球でもない。じゃあ、どこを変えるか考えたとき、脳みそ、精神だと。私生活から“中庸”を意識し、気持ちの浮き沈みをできる限りなくしたんです。呼吸から中庸なんです」

 2戦目となった5日のロッテ戦。5回1死で強烈なライナーが右下腹部に直撃も、すぐに拾い上げて一塁送球しアウトに。直後に緊急降板し勝敗は付かなかったが「(打球)直撃後に落ち着かせた。中庸です。興奮していると気付いたら(気を)下げる」。最後まで冷静さを貫き、3戦目のマウンドに戻った。

 「難しいけど基本、落ち着いて、投げる瞬間だけ(勝負)。いい形を追い続けて、ひと皮、いや二皮、三皮むけたと思うのが人間です。これも訓練かな」。実に奥が深い武田の“中庸投法”。慌てず、騒がず、動じず、見届け続けたい。(記者コラム・井上 満夫)

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