日本ハム・上沢 完全復活!125球の熱投で798日ぶり完投勝利 チームの連敗4で止めた

[ 2020年9月2日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム8―1楽天 ( 2020年9月1日    札幌D )

<日・楽>7回、小郷を空振り三振に仕留め雄叫びをあげる上沢(撮影・高橋茂夫)
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 日本ハムの上沢直之投手(26)が1日の楽天戦で1失点完投し、チーム最多タイの5勝目を挙げた。完投勝利は18年6月26日のソフトバンク戦以来798日ぶりで、昨年6月の左膝骨折から復帰後は初めて。11年ドラフト同期の松本剛外野手(27)が決勝打を放ち、チームは連敗を4で止めて勝率5割に復帰、3位・楽天に1ゲーム差に迫った。

 完全復活――。ヒーローインタビューでそう問われると、上沢は「それはファンの皆さんが決めてくれることだと思う」と答えた。すると、4041人のファンから大きな拍手が送られ、照れくさそうにほほ笑んだ。チームが、ファンが待ち望んでいたエースの姿がそこにはあった。

 ヒーローインタビューは決勝打の松本と2人。「同じタイミングで手術して、2人とも悔しい思いをしてリハビリに臨んでいたし、同じ日にヒーローに選ばれたのは僕にとって凄くうれしいこと」。自身の番が終わり、松本と入れ替わってもベンチ前で感慨深そうに松本に視線を送る姿があった。「同期で付き合いも長い。2人で暗い気持ちになっていたこともあったので、1軍の舞台で結果を出せて良かった」。ともに昨年受けた手術から復帰した境遇だけに、喜びもひとしおだった。

 今季ワーストタイの4連敗を喫して迎えた楽天3連戦初戦。上沢が試合のポイントに挙げたのが3回だった。ロメロ、岡島に連打を浴びて無死一、三塁。9番・足立がセーフティースクイズを仕掛けてきたが、本塁前に転がったゴロを捕手・清水が素早く処理して三本間で三塁走者・ロメロを挟んでタッチアウト。続く小深田がまたもセーフティースクイズを仕掛けてきたが、今度は素早く前進してきた一塁・中田が本塁にグラブトスして刺した。バックの頼もしい守備に「1点OKの場面で2死までいけたので、あのままゼロでいかないと流れも良くない。いいプレーをしてくれたので、それに応えたい気持ちでいた」と振り返った。

 9回は右手中指の血マメがつぶれて流血。最後は血染めの球に魂を込め、今季最多125球の熱投を見せた。勝利の瞬間が笑顔ではなかったことを指摘されると「8―1で完投して喜んでもね。投げる体力がなくなったなと思う」と苦笑いしつつ、「1人で投げられたので、明日(2日)以降は継投もしやすいと思う」とうなずいた。

 栗山監督も「本当に苦しい試合をしっかり投げてくれて、ただただ感謝しています」と最敬礼だ。悪い流れを断ち切るだけでなく、チームに弾みをつける大きな一勝。これができるのもエースたるゆえんだ。(東尾 洋樹)

 ▼日本ハム・中田(3打点でリーグトップの71打点)上沢がいいリズムで投げてくれていたので、大事な追加点を取ることができてよかった。

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