巨人・菅野 鬼門も何の!54年ぶり無傷9連勝!開幕投手では82年ぶり 打っても走者一掃二塁打

[ 2020年8月26日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人8―4ヤクルト ( 2020年8月25日    神宮 )

<ヤ・巨>7回2死満塁、3点適時二塁打を放ちガッツポーズする菅野(撮影・木村 揚輔)
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 巨人の菅野智之投手(30)が25日のヤクルト戦に先発し、7回5安打2失点で開幕から無傷の9勝目を飾った。初回に3連打などで2点を失いながら、2回以降修正。打っても1点を勝ち越した7回、なお2死満塁から走者一掃の左中間二塁打で勝利を引き寄せた。開幕から9連勝以上は66年に13連勝した堀内恒夫以来4人目で、開幕投手に限れば38年春のスタルヒンの11連勝以来、82年ぶり2人目となった。

 マウンドで見せる喜びとはまた違う。二塁ベース上で三塁ベンチへ向け、菅野は両手を突き上げた。3―2の7回2死満塁。外角スライダーを捉えた打球が、前進守備の左中間を抜ける走者一掃の適時二塁打。自らのバットで試合を決めた。

 「まぐれだと思うんですけれど、打てて良かったです。(投球の)調子は良くなかった。勝ててホッとしています」。勝利への執念は、歴代のエースたちに負けない。巨人投手で歴代2位の通算21本塁打、82打点を挙げた堀内恒夫に勝るとも劣らない打撃で、堀内以来の開幕9連勝をたぐり寄せた。

 本業では異次元の修正力を発揮した。初回。今季3度目の対戦となるヤクルト打線に早いカウントから直球とスライダーを狙い打ちされた。3連打を含む4安打で2失点。「ある程度、構えたところにいってコンタクトされていると思った」と冷静に分析した。「今までにないような配球を」と2回から大胆に組み立てを変えた。
 決め球フォークを早いカウントで多用した。2回以降に投じたフォーク12球中、追い込む前は9球。「ゾーンに投げたりカウントをうまく取れた」。さらに左打者にはツーシームも使い、スライダーと逆への変化で狙いをそらした。鋭い洞察力に加え、豊富な球種を出し入れできる菅野だからこその修正力。2回以降は安打はわずか1本で三塁を踏ませなかった。「新しい引き出し」とうなずいた。

 忘れられない試合がある。入団1年目の13年5月25日オリックス戦。この日と同様に序盤につかまり、3回までに2失点。バッテリーを組んだ阿部(現2軍監督)から「調子悪いな。でも勝負だから投げやりになっちゃ駄目だ。丁寧に投げていたら絶対いいことあるから」と声をかけられた。8回2失点と粘ると、チームはサヨナラ勝ちした。試合後に「“な、いいことあっただろ”と肩を叩いてくれて、凄いうれしかった」。勝敗が決するまでマウンドに立つ絶対エースは、降板するまで次の1点をどう防ぐかを考えてきた。その積み重ねが、今の菅野を支える。

 レギュラーシーズンでは通算10戦で1勝だった神宮で4年ぶりに勝利した。「神宮だとヤクルトの選手も何か違うような気がする。でもそれに打ち勝つだけの準備はしてきた。勝てるところまで続けたい」。巨人の歴史を塗り替える存在へ、一歩ずつ上っていく。(青森 正宣)

 ▼巨人・原監督(今季4度目のチームの連敗をストップした菅野について)逆境の時に勝ってくれるのは非常にチームにとって大きい。(連勝を)続けてもらいたい。

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