学法石川・佐々木監督、夏の甲子園中止でも…「区切り」の県大会開催を!

[ 2020年5月19日 05:30 ]

ノックを打つ学法石川・佐々木監督
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 福島・学法石川野球部は18日、同校グラウンドで約1カ月ぶりに部活動を再開した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で夏の甲子園大会が中止の方向で検討される中、甲子園通算29勝の名将・佐々木順一朗監督(60)は「区切り」としての県大会の開催を強く求めた。

 複雑な思いを抱きながら、ユニホーム姿の名将が約1カ月ぶりにバットを手にした。シートノックなど2時間半の練習。球児にとっての最大の目標が消えかけている中、学石・佐々木監督は選手たちを思いやった。

 「今回は指導者が何もできない無力さを感じている。中止になれば、生徒は言葉にならないくらいかわいそうだと思う。ただ、開催しても非難の中で野球をやることになる。それもかわいそう。八方ふさがりです」

 20日に中止が発表される見込みの夏の甲子園。その存在を佐々木流に表現した。「甲子園は行くことが難しい。だからこそ、甲子園に至る過程が甲子園」。今、名将が心から願うのは、目標を失っても、その道のりだけは残すということ。「春から試合でユニホームを一回も着ていない。何もしてないんですよ。大人が生徒に区切りをつけさせてあげないといけない」。3年生のためにも、県大会の開催を求めた。

 笑顔の大切さも改めて強調する。「運命を愛し、希望に生きる」「いい親父になれ」という言葉を大事にする佐々木監督。選手たちが希望を失いかけている今こそ「コロナで笑顔を消していいのか。コロナで人生を諦めるのか。違う。高校生には、大人になるための作業が残っている。落ち込んだらいけない。手伝えることはしていきたい」と語った。

 県外出身の部員は帰省させず福島にとどめた。4月以降は毎日、距離を取りながら一緒に寮で食事した。「悩んだら思考は停止する。事実を受け入れて、悩まないで笑顔で今を考えてほしい」。下を向くことなく、必死に白球を追う学石ナインを、佐々木監督は優しく見つめた。(近藤 大暉)

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2020年5月19日のニュース