BFJ山中正竹会長 心身ともに健康でこそ野球の社会的価値が発揮される

[ 2020年4月29日 14:00 ]

BFJ山中正竹会長インタビュー(1)

山中正竹会長
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 全日本野球協会(BFJ)の山中正竹会長(73)が電話取材に応じ、スポーツを楽しむ大前提として健康、平和が必要とあらためて訴えた。今月3日に同協会を通じ「すべての野球人の皆さまへ」と題したメッセージを発信したが、山中会長は私たちが心身ともに健康で、その健康が維持された中でこそ、野球の社会的価値が発揮されると強調した。(聞き手・伊藤幸男)

 ―東京五輪は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、1年延期となりました。
 山中 今回の延期は生命に危険を及ぼす状況にあると判断されたからですね。1980年のモスクワ五輪は、ソ連のアフガニスタン侵攻という平和を破壊する出来事が東西冷戦下政治に利用され、日本はボイコット、不参加となりました。今回は新型コロナウイルスという世界中の全ての人が生命の危機にさらされるという状況に直面して延期となった。やはりスポーツは平和であり、生命と暮らしが保障されていなければ出来ない。最大の祭典であるオリンピックもそうだと、今あらためてスポーツにかかわるすべての人が再認識したと思います。

 ―非常事態宣言下では健康・生命を最優先するため、出来る限り集団行動を控えようと言うことですね。
 山中 ストレスはたまるでしょうが、心の健康、体の健康を増強・充実させる時期と考えればいいのでは…。たとえば自分を見つめ直す意味でメンタルトレーニングをやり直すのも手でしょう。また様々な分野の本を読むこともいいですね。私も気になった本を読み返しています。

 ―フィジカル、テクニカルトレーニングは限られる分、時間は生まれますからね。
 山中 今やれることに、それぞれの場で力を尽くして欲しい。「スポーツマンシップ」について勉強する時間にも充ててほしいと思います。

 ―選手宣誓でよく使われる言葉ですね。
 山中 2018年の日米野球からMLBの呼びかけでBFJも「スポーツマンシップ/Fair playキャンペーン」を実施しています。私も侍ジャパン強化本部本部長として、代表チームに「強さと品性(インテグリティー)がないとメダルの輝きは100%にはならない」と話しました。もちろんトップチームは勝つことを求められている。ただ勝利至上主義ではない。技術が高いだけでなく、人間的にも魅力のある選手の集団にならなければ、後の世代は続かないんです。スポーツマンシップの根源はチームメイトや対戦相手、審判員を敬い、何よりスポーツに対する尊敬の念を忘れないこと。ルールを決めた中で争うのがスポーツ。それを認めないのが戦争です。

 ◆山中 正竹(やまなか・まさたけ)1947年(昭22)4月24日、大分県出身の73歳。佐伯鶴城から法大に進み、東京六大学史上最多の48勝。住友金属監督として82年都市対抗優勝。92年バルセロナ五輪では監督として銅メダルを獲得した。94年から法大監督として7度東京六大学リーグ優勝。2003年からプロ野球横浜の専務取締役。16年野球殿堂入り。全日本野球協会(BFJ)会長、侍ジャパン強化本部本部長。 

 ※次回は指導者編です。

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2020年4月29日のニュース