【ルーキー牙を研ぐ】広島・森下暢仁投手 “三種の神器”で泰然自若

[ 2020年4月29日 08:00 ]

総合力で高い評価を受ける広島・森下
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 広島、中日、オリックスの担当記者がイチ推しする新人選手を、「ルーキー牙を研ぐ」と題し、29日から随時掲載する。第1回は広島の森下暢仁投手(22)。総合力の高さに定評がある即戦力右腕の持ち味と、今春の取り組みに迫った。

 どこを切り取っても一級品である。広島ドラフト1位・森下(明大)の評価の高さは、総合力にある。オープン戦は順調に4試合を消化。3月8日の西武戦では、5回8奪三振無失点の好投を見せるなど、首脳陣も早々に先発入りを認めて立場を確立した。

 総合力は、緩急を自在に操る器用さに表れる。オープン戦での最速は152キロ。加えて、カーブは110キロ台に抑えて、曲がりも大きい。春季キャンプのブルペン投球を見た佐々岡監督が「カーブはスピン量、キレも素晴らしい」と驚いたほどに強い印象を残した。しかし、森下は「カーブが一番いいと言われますけど、制球の面では一番難しいですね」と首を振る。

 「自信があるのは、カットボールです」。森下のカットボールは、140キロ前後。直球のような軌道から打者の手元でブレーキを効かせる。安定した制球で、カウント球にも勝負球にも変化する。大学時代に東京六大学リーグでしのぎを削った中日・郡司(慶大)は、3月22日のオープン戦で2打席連続の見逃し三振。「大学時代はあんな球(カットボール)は投げてこなかった」と勝負球の進化を証言した。

 さらに、チェンジアップでも翻弄(ほんろう)。「(落とすより)前後の感覚。直球と思ってもらいたい。落としたいときには落とせばいい」。“三種の神器”となる変化球が森下を支えている。

 すでに調整法も確立し、開幕延期に慌てることもない。「これまでも開幕は逆算していなくて、次に投げる試合に向けて1週間をどう過ごそうか…とやってきた。だから、登板間隔が空いたとしてもやることは変わらないです」。先発陣が100球超えのブルペン投球を見せる中、キャンプ同様に球数を抑えた調整を続けている。泰然自若とした姿勢も新人離れしている。(河合 洋介)

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2020年4月29日のニュース