エ軍キャンプで大谷と汗流す日々…“日本にルーツ”23歳左腕 メジャー昇格、日本挑戦への道に注目

[ 2020年3月8日 09:30 ]

日本にルーツを持つエンゼルスの大型左腕ゴハラ(撮影・柳原 直之)
Photo By スポニチ

 米アリゾナ州テンピ。大谷が所属するエンゼルスのキャンプにマイナー契約の招待選手として、身長1メートル90、体重120キロの大型左腕が必死に汗を流している。ルイス・ゴハラ投手(23)。ブラジルのサンパウロ近郊出身で父方の祖父母が日本人の日系3世だ。

 「野球、サッカー、いろいろなスポーツをやってきたが、5歳の時に始めた野球はそのまま続けているよ。父が日本のアマチュアで野球をやっていて、プロを目指していたんだ」。

 サンパウロ市内にあるヤクルトの野球アカデミー出身で、2012年に16歳でマリナーズとブラジル出身の選手としてメジャー全30球団で歴代最高額となる88万ドル(約9240万円)で契約。150キロ台中盤の直球とスライダーが武器で現地報道では「サバシア(元ヤンキースなど)2世」とも報じられたことがある有望株だ。だが、メジャーの壁は厳しかった。通算14試合で1勝4敗、防御率5・33。昨年7月にブレーブスを戦力外となり、同9月にエンゼルスとマイナー契約を結んだ。

 ゴハラは日本の名字だが「どんな漢字か分からない」と言い、「日本のどこにルーツがあるかも分からない。祖父母にも会ったことがないので」という。日本語を話せた父が早くに亡くなったことから、日本語を勉強する機会を失ったが、「僕が生まれた町は80%くらいが日系ブラジル人だと思う。日本語はほとんど忘れてしまったけど、あなたが話している日本語は少しだけ分かる」と説明した。

 ある日、クラブハウスで大谷とツーショット写真を撮影していたことがあった。「ヤクルトの野球アカデミーのコーチが大谷の活躍をよくビデオで見ていて、知っていた。そのコーチに“ここに大谷がいるよ”と教えてあげたんだ」。大谷とは同じ投手組で練習メニューをこなすこともあり、「大谷には毎日、日本語で話しかけるようにトライしているよ。こんにちは、おはよう、元気ですか…小さな日本語が頭の中に浮かんできて、その言葉を話しかけている。自分の頭の中には英語、ポルトガル語、スペイン語も入っているから、混ざってしまうけどね」と笑顔で語った。

 故障のため登板機会はなかったが、2013年WBCにブラジル代表の予備登録メンバーとして来日経験もある。「米国のチームと契約する前は日本のチームでプレーしようと思っていた。だから日本語を少しずつ学ぼうとしていたけど、米国のチームと契約してしたので、やめてしまったんだ」。ただ、将来的な日本でのプレーを本気で熱望しており、「今年も日本の球団に行こうと思っていたんだ。来年か、またその次かチャンスがあれば日本でプレーしてみたいね」と真剣な表情で語った。

 故郷のブラジルには夫人と2歳の女の子を残してきた。その夫人は第2子も授かり、妊娠6カ月だという。現在、ゴハラは昨夏に手術を受けた左肩のリハビリ中で、4月をメドに本格的な投球を再開する見込みだ。「とにかく1日1日、焦らずにやっていきたいと思っている」。メジャー昇格、そして将来的な日本挑戦へ。日本にルーツを持つ23歳左腕の今後に大いに注目していきたい。(記者コラム・柳原 直之)

続きを表示

2020年3月8日のニュース