年の瀬アマ野球スペシャル対談 慶大・郡司裕也×立大・藤野隼大

[ 2019年12月31日 19:21 ]

慶大・郡司裕也(左)と立大・藤野隼大
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 実力派捕手が多くそろった2019年の大学野球。中でも、ともに日本代表、日本一を経験し、ライバルとしても切磋琢磨した慶大・郡司裕也捕手と立大・藤野隼大捕手が対談した。

 郡司捕手は中日へ、藤野捕手はHondaへそれぞれ進む。苦労の多いポジションながら縁の下の力持ち的な捕手。面と向かってじっくり話すのは初めてだというが、今だから話せること、野球への情熱や思いが尽きない対談となった。(収録は12月、都内。以下、藤野=藤、郡司=郡、スポニチ=ス)

 ――同学年で日本一、代表入りも経験。下級生からリーグ戦に出て何度も対戦したわけですが、お互いのことはどんなふうに思っていました?

藤 フォークしか投げてこないから嫌いでした(笑い)

郡 落ち球最強説あるからね(笑い)

藤 まあ、それは冗談として。郡司はなんであんな三振しないの?

郡 ええ?(笑い)まあ、読みかなあ。オレが(立大のエース田中)誠也から打ったレフト線あるでしょう?(※今秋9月28日、立大1回戦、6回の同点左翼線適時二塁打)。インコース来るかなあって思ったての。そしたらお前、インコースのカットボール投げさせたでしょう?こいつわかってやがる~!って思って(笑い)。すぐ引っ張りにかえた。

藤 あそこはカット続けて投げさせたのが反省。真っ直ぐで押し切れたかもしれないなあ。

郡 読まないと打てないですよ、誠也とかは特に。

藤 読み方教えてほしいよ。でも郡司を始めとして、慶応打線は本当に空振りしなかった。ファウルするんですよね。

郡 うちってフリー打撃が全然気持ち良くないんですよ。なぜかというと、バッティングキャッチャーがストライク、ボールを全部コールするんですよ。だから4年のサポートの打撃投手がどんどん上達してきて、めちゃくちゃ抑えに来る。しまいには捕手がフレーミングとかしだして、僕よりうまい人もいたくらい。

藤 それうちも取り入れよう!採用!(笑い)郡司、実は足速いよね?ランナーで出たら、けん制けっこう入れてたんだよ。

郡 まあね、ふふふ。この前、オール早慶戦の時、早稲田の岩本(久重)から盗塁したんですよ。歩く振りして戻ってバッといったら、岩本君びっくりしてました。(※リーグ通算成績は6盗塁)。

 ――対戦して嫌だったチームや打者は?

郡 明治は嫌なバッター多かったですね。中でも添田(真海、現・明大――日本通運)かな。びっくりしたのは、うちの石井(雄也)がオープン戦で絶対打たれなかったチェンジアップを初見で打ってきたんです。石井のチェンジアップは津留崎(大成、慶大――楽天)が100万円出して買いたいと言っていたくらいのボールだったんですけど(笑い)、添田の対応力は本当にすごかった。

藤 津留崎あんな良いカットボールあるのに、チェンジアップまで持ったら超やっかいだなあ。僕も明治は嫌だったけど、慶応も嫌な打線でしたよ。郡司は自分が中にいるからわかんないかもしんないけど。

郡 いや、俺も対戦相手だったらいやかも。

藤 法政みたいにステータスSがいっぱいいるわけじゃないけど、全員仕事するよね。下位打線も良いとこ打つじゃん。うちは瀬戸西(純)にやたら打たれたし。

郡 瀬戸西は(立大のエース田中)誠也キラーだったからね。どん詰まりのポテンとかあったよね(笑い)

藤 バットの先っぽ折ったりとかね。

郡 立教のことは対誠也というより、藤野を見てた。誠也はコントロールめちゃくちゃいいから、そうなるとやっぱり藤野を見ますよね。

 ――ライバル視はしていたんですか?

藤 2年くらいまではバチバチやってたんですけど、4年でもう横に置いた(笑い)それどころじゃなくて。

郡 藤野の打率はめちゃくちゃ気にしてましたよ。

 ――捕手で印象に残っている人は?

藤 法政の中村(浩人、現東芝)さんですかね。うまかった。ストップとかすごいなと。

郡 海野(隆司、現東海大――ソフトバンク)。技術面、ブロッキングとかすごいなと思って見ていました。すごい柔らかいし。

 ――捕手は地味だけど苦労の多いポジションかなと思いますが、それぞれどういうきっかけで捕手になったんですか?

郡 最近は捕手やる小学生少ないらしいですね。僕はやりたいって言ったみたいです。

藤 僕は小学生の時、たまたま正捕手が目にごみ入ってプレー止まって(笑い)その時にやりたいって言ったみたいで。そこからずっとです。

――やはりアザだらけになった時もあるんですか

郡 1年の時はアザだらけでしたね。

藤 加藤(拓也、現広島)さんでしょ、絶対(笑い)

郡 そう。夏場から試合出させてもらったんだけど、加藤さんのワンバウンドが本当にとれなくて。そしたら大久保(秀昭)監督がマシンでストッピングの練習始めたんですよ。1年生だし、良い防具使えなかったから首下にあたりまくってアザだらけでした。

藤 あーそっか、僕はキャッチャーメニュー組んでもらったことがなかったので…そういうことはなかったんですけど。あ、でも高校(川越東)の時、高橋佑樹(投手、現慶大――東京ガス)のスライダーがのどに入ったことありましたね。初見でとれなかった。

郡 あれは初見じゃとれないよ。

 ――お二人には高橋佑樹投手と高校、大学でバッテリーを組んでいるという共通点がありますね

郡 明治神宮大会はできすぎでした。これまでにないくらい球速かったですし。

 ――藤野選手は高橋投手も含め、川越東の同級生が多く六大学でプレーしていましたね

藤 対戦できたのは面白かったですね。福岡(現早大)は、ミスショットするとわかったりとか。普通打者は打ったところを見るんですけど、あいつは打席外した後に天を仰ぐ。態度に出るんですよ。

郡 わかる!長打打ちたいんだろうなっていうのが見ていてわかった。ところでさ、ボンバー(高橋佑樹のニックネーム)対策ってどんなことしていたの?よそのチームがどうしてたのか気になる。

藤 あのスライダー、高めだけ振っていこうって言うんだけど、みんな振っちゃうんだよね。難しかったよ。真ん中らへんにくるでしょう?

郡 けっこうベンチから聞こえるの。低め捨てろ!とか。そういうの聞くと逆に低め投げたくなっちゃう。

藤 僕自身は高校時代受けていたから、スライダーの軌道見慣れてたのはでかかったけれど。ボンバーはいろんな意味で、高校時代から何も変わってない(笑い)社会人で対戦するのが楽しみです。

 ――思い出深い投手はいますか?

郡 森下(明大――広島)と誠也。ずーっと対戦してきましたし。どっちも相性良かったですから。

藤 相性の良さでいったら、法政の菅野さん(現東京ガス)と早稲田の小島さん(現ロッテ)かな。代表で組んだ人では日体大の松本さん(航、現西武)はすごかった。誠也の球質が150キロになったみたいな。速いのにコントロールが良い。すごいと思いました。

 ――やはり田中誠也投手は世代の真ん中にいた投手という印象ですね。

郡 そうですね。(藤野に向かって)誠也は首振る?

藤 振らないよ。組み始めくらいは首振られたけど。

郡 よく思うんだけど、首の振り方って性格出ない?誠也って、「いやあ、ちょっとそれはなあ」みたいに優しく首振ってる(笑い)投手によって首の振り方って全然違うんですよ。ボンバーは全然首振らないし(笑い)木沢(尚文、慶大3年)は1つのサインに3回くらい全力で首を振っている(笑い)

 ――サイン交換は奥深くて面白いですね。

藤 長く組むと、アイコンタクトでわかるようになりますからね。(指1本出して)「インコースいくっしょ?」「いや、無理」みたいなやりとりが楽しいです。

郡 そう、そういう領域までいくと楽しいよね。

 ――2人とも日本一を経験して、代表もマスクかぶった

郡 2年で日本一だからすごいよね。投手陣は今とほぼ変わらないじゃない。

藤 そうねえ。あの時は先輩のバッター陣がやっぱりすごかった。

郡 優勝する時って必ず活躍する人がいるんですよね。今年だって小原(和樹)があんな打つと思わなかったもん(笑い)

 ――投手の替え時ってどんな風に決めるんですか?

郡 監督の方見て、ジェスチャーしてました。

藤 イニング間に監督からどうしたい?って聞かれるので、ここらへんまでランナー出たらお願いしますって言いますかね。でも、予定していた投手と全然違う人出てきて慌てたこともありましたね(笑い)。

郡 うちも予定外の投手が出てきてライン越えちゃったから投げなくちゃならない、みたいなことあって、大慌てだった時ありましたよ(笑い)ベンチではいろんな事件が起きてるんです、何かしら(笑い)

 ――キャッチャーの楽しさってなんでしょう?

郡 最近は野球教室やってもキャッチャーは全然いなかったりしますからね。ただ、面白さでいうと小学生とかにはちょっとわからないかも…(苦笑)

藤 ずっとボールさわってられるのは楽しいかも。ゲームを支配できるというか。

郡 オレはあまりそこに楽しさは感じないんだけど(笑い)ずっと頭使ってるとことか。1人だけ心理戦してて、1人で賭けしてるみたいな感覚かな。

 ――腹黒くないとできない?!

郡 たしかに。僕はけっこう誠也に「お前、嫌なやつだな」って言われるんですけど、最高の褒め言葉ですね。「性格悪いな」って言われるとうれしい。人狼ゲームってあるじゃないですか。自分うそしかつかないです(笑い)人をだましたくなる。

藤 超わかる!あと、やっぱり相手のベンチの声とかをいつも聞いているから、普段の私生活とかでも聞き耳立てちゃったりするのは「あるある」かもしれないです。

郡 確かに!人間観察とかすごい好きですね。めっちゃキョロキョロしない?

藤 するする!あと、プロ野球を見ていても、バッター見てないでキャッチングとか見ちゃう。

郡 ものすごくよくわかる…
 
 ――肩強いとけん制したい欲にかられる?

藤 確かに殺せる!って思うと投げちゃうんですよね。あと、ベース前のワンバウンドとかあるじゃないですか。映像で見ると、ベースよりかなり手前でバウンドしてるんですけど、郡司止めろよ~みたいな空気が迫ってきて。あれがやるせない…(笑い)

藤 キャッチャーの範囲外にパスボールしていって、それ追いかけていって進塁してるのを見るのが一番むなしいですね(笑い)

郡 あーやっちまったー!ってなるよね。

ス キャッチャーはつらいよ…ですね(笑い)

藤 完全なボール球をパチーンて良い音鳴らしてとるのが一番気持ちいいかも。メーカーはミズノ。やっぱり他のポジションよりたくさん捕るから、2年もてばいい方ですね。

郡 僕もミズノ。新しいのは1個しか作っていないので、今使ってるやつともう1個でしばらくやっていこうかなと。

藤 僕は1年で4~5個でまわすんです。試合で使うやつは、オープン戦でも練習でも使わないです。練習用は練習用。リーグ戦直前に試合用を少し使ったりしてる。

郡 へえ、そんな使い方してるんだね。

 ――まだまだ話尽きませんが、最後に後輩とお互いへエールを。

郡 新キャプテンの瀬戸西はとっても真面目。嶋田もそうかな。監督も変わっていろんなことが一新すると思うけど、頑張ってほしいです。

藤 (次期エース候補のアンダースロー)中川(颯)はもちろんだし、(2年生左腕の)川端が復活してほしいですね。状態がよければ、「えぐい」真っ直ぐを投げるし、見たことのない角度で低めが来る。キーマンになると思う。

ス 立教は山田選手が将来的に長くクリーンアップ打ちそうですね

郡 腕が長いですよね。外も届くし。インコースさばくのうまい。

藤 インコースうまいね。

郡 穴がないね。

ス またお二人の対戦も見てみたいです。

郡・藤 はい。お互いがんばろうね!

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