ゴールデングラブ賞に思う 野球ファンの数だけ、答えがある

[ 2019年11月5日 10:00 ]

ロッテ・荻野貴司
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 プロ10年目で初のゴールデングラブ賞に輝いたロッテ・荻野貴司は控え目に言った。

 「やっぱり、楽天戦の左中間へのあれが印象に残っています」

 8月2日の楽天―ロッテ戦(楽天生命パーク)。楽天・茂木の放った左中間深くへの打球をフェンス際でダイビングキャッチ。顔の前にはフェンスが迫っており、恐怖の感情を払拭(ふっしょく)しなければできない勇気あるプレーだった。

 投票する際、今季のパ・リーグで光った外野手のプレーを思い起こした。肩の強さや守備範囲だけではない。打球を処理するまでの動きや、どれだけ試合に出てアウトを取ることに貢献したか。補殺や刺殺などの数字は参考にする程度だ。数字にとらわれすぎては、記者投票の意味が薄れる気がするからだ。

 ゴールデングラブ賞は記者投票である。新聞・通信社、テレビ局、ラジオ局でプロ野球担当者として5年以上、現場で取材してきた記者が投票権を持ち、担当球団のある者はそれぞれのリーグ、両リーグともに取材する者はセ・パに投じる。

 これを巡っては毎年のように批判もある。記者の私感に左右され、最近はメジャーで信頼される「同じ守備位置の平均的な守備能力の選手と比べ、守備でどれだけ失点を防いだか」を表す数値UZR(アルティメット・ゾーン・レーティング)など引き合いに出され、議論が尽きない。

 当然だと思う。守備は数字で示しにくい。見る人の数だけ、答えがある。肩や足など何を一番に評価するかだけでも、意見は完全一致することはない。実際、今季も私が投票した選手全員が選ばれたわけではなかった。

 時には目を疑う投票もあるが、もし「UZR」などで完全数値化し、タイトルにしたとしてみよう。他のタイトルのように発表され、これほど意見が飛び交うことはないのではないだろうか。そうすべきとの意見が多数を占めてくれば別だが、野球ファンの数だけのゴールデングラブ賞があっていいと思う。

 野球のないオフシーズン。これほど「酒のさかな」になる話題はないし、投票した記者に対し「分かってねえよなぁ~」とグラスを傾けながら、熱い持論を交わしてほしい。(記者コラム・福浦 健太郎)

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