【令和新時代 夏のメモリー】智弁和歌山・高嶋名誉監督もほんろうされた「魔物」と「女神」

[ 2019年8月20日 08:30 ]

第101回全国高校野球選手権大会

試合を観戦する智弁和歌山・高嶋前監督
Photo By スポニチ

 令和になっても変わらないものがある。甲子園に棲む「魔物」だ。歴代最多となる甲子園春夏通算68勝を誇る智弁和歌山・高嶋仁名誉監督(73)はこんな話をした。

 「甲子園には“魔物”もおれば“女神”もおります。なんぼでも遭ったことがありますよ」

 いつの時代も魔物はまさかを引き起こし、女神は奇跡を呼んだ。高嶋名誉監督には忘れられない試合がある。2度目の夏優勝の00年、準々決勝の柳川(福岡)戦だ。

 2―6で8回。敗色濃厚だった。でも、ナイターになっても観客は帰らない。「なんで帰らんのか分かるか?みんな智弁の打撃を見たいんや」。すると武内が右越えソロ。さらに2人走者が出たら、ベンチ上の客席から「一発で同点だ」と声が聞こえた。次の瞬間、山野の一打が高く上がる。再びベンチ上から「入れっ」「入れっ」。同点3ランとなり、高嶋監督は「優勝するんとちゃうか」と思ったという。

 それは「女神」を振り向かせた瞬間だったのだろう。延長戦でサヨナラ勝ちし、そのまま優勝を飾った。「お客さんが後押ししてくれる。甲子園でしか、そういうことは起こりません」。その6年後の準々決勝。帝京との13―12の激闘では、9回2死から4点差をひっくり返される「魔物」に遭い、その裏の大逆転劇で「女神」を見た。

 「魔物」と「女神」は表裏一体。いかに「女神」を味方に付けるかだという。令和初の夏は準決勝。どんなドラマが待っているのだろうか。(秋村 誠人)

続きを表示

2019年8月20日のニュース