【市川いずみの届け夏エール】難病も仲間を鼓舞し続けた関東第一・金森君、経験生かし夢の指導者へ

[ 2019年8月19日 05:30 ]

第101回全国高校野球選手権大会 第12日準々決勝   関東第一3-7履正社 ( 2019年8月18日    甲子園 )

声でナインを鼓舞ずる関東一・金森(撮影・大森 寛明)
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 「目が開かない…」1年の冬、倦怠感とひどいむくみが体を襲いました。関東第一の金森優君は腎臓病の一つネフローゼ症候群を患い1か月半入院しました。尿と一緒にたんぱく質が出ることで全身がむくみ、完治はほとんどなく再発が怖いと言われています。医師には野球を辞めることを勧められましたが、見舞ってくれた米沢監督の「戻ってきてからで間に合う」という言葉が励みとなり「1ミリも辞める気はなかった」と復活を誓いました。

 足を絡めた緻密な“関一野球”に憧れて門を叩きました。入院中もテレビや動画でプロ野球を見て気づいたことはすぐにメモ。退院後も指揮官から教わったことは全てメモに残し「知識だけは誰にも負けないところを評価されたと思う」と最後の夏は背番号5をつかみ聖地へたどり着きました。

 しかし、病は試練を与え続けました。初戦の数日前から体がむくみはじめたのです。日本文理戦で途中出場し安打と盗塁を記録しましたが試合後に体調が悪化。「もう戻ってこられない」と荷物をまとめ東京の病院に向かう金森君に「荷物を置いていけ。戻ってこい」。指揮官はそう声をかけました。

 全幅の信頼を寄せられていて、いまや“関一野球”に欠かせない存在なのです。2日間点滴を受け、次の熊本工戦には3塁コーチャーとして戻ってきました。「甲子園に来るために頑張ってきたから」と5種類の薬を飲みながら履正社戦もコーチャーズボックスに立った金森君。「憧れていた“関一野球”の大事な一役を担っているのでプライドを持ってやりました」。たんぱく質や塩分を控える必要があるため、試合中も水しか飲むことができません。そこまでしてでも、来たかった夢の舞台。最後まで万全の体調に戻ることはできませんでしたが「甲子園はすごい。試合中はアドレナリンで病気のことは忘れていました」と清々しい表情で振り返りました。今後も野球を続け、将来は指導者になることが目標。困難を乗り越えたからこそ、子供たちに夢と希望を与えられる素敵な指導者になるはずです。

 ◆市川 いずみ 京都府出身のフリーアナウンサー。山口朝日放送時代に高校野球の実況で「ANNアナウンサー賞最優秀新人賞」を受賞。高校野球検定に合格し、自宅に甲子園の土を飾るほど生粋の高校野球好き。

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