阪神 北條が同点弾「同い年で同期」藤浪の黒星消した

[ 2019年8月2日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3―2中日 ( 2019年8月1日    甲子園 )

5回1死、北條は左越えにソロ本塁打を放つ(撮影・坂田 高浩)
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 阪神は1日の中日戦に勝利し、長期ロード前最後の3連戦を勝ち越した。北條史也内野手(25)が、5回1死から左翼席へ3号同点ソロ。甲子園球場生誕95周年の節目の日に、今季初先発した藤浪晋太郎投手(25)とともに光星学院(現八戸学院光星)時代に聖地で躍動した若虎が、存在感を見せつけた。首位巨人が敗れ、自力優勝の可能性も復活した。

 聖地に懸けるアーチの快感を知る男が、値千金の一撃で戦う姿勢を示した。1点ビハインドで迎えた5回だ。北條は、怒りをを込めて5球目の直球をフルスイングした。

 「ホームランとは思ってなかったので。前の打席にインコースで詰まらされて(二飛で)悔しかった。そういう気持ちで入った打席でした」

 両手に残る重い感覚は打者としての「屈辱」に他ならない。持ち前の強い負けん気で運んだ打球は、左翼スタンドへ着弾する同点ソロ。攻めあぐねていた中日・ロメロにダメージを与え、矢野監督も「いつもベンチで声出す、練習も手を抜かない。そういう選手が結果を出すというのはチームにとっても大きいと思う」と1点以上の価値を見いだした。

 何より「8・1」に描いた放物線に意味がある。この日は、甲子園球場誕生95周年という節目の日。「試合前に知りました。アマチュア時代から結構、試合してる。甲子園のイメージは強い」と振り返った25歳にとって、甲子園はホーム以上の意味で特別な場所だ。
 「北條史也」の名を一躍、全国へとどろかせたのは、光星学院(現八戸学院光星)3年時に出場した12年夏の準決勝・東海大甲府戦。バックスクリーン2連発を放ち、大会屈指の「スラッガー」として注目を浴びた。そんな中、決勝で立ちはだかったのが大阪桐蔭・藤浪だった。4打数無安打に終わり、0―3で完敗。同年秋のドラフト会議では右腕に続いて2位で阪神へ入団し、舞台を変えて、同じタテジマに袖を通す仲間になった。

 甲子園が引き寄せた縁なのか。“誕生日”のマウンドに立ったのは、今季初先発だった藤浪。5回途中で降板し白星を送ることはできなかったが、甲子園で2人が先発と本塁打の競演を果たしたのはプロ入り初だった。

 中学時代から互いを知る仲で、多くのチームメートが「晋太郎」と呼ぶ一方で、北條は今も「藤浪」で変わらない。「中学から僕の中では“藤浪”なんすよ。晋太郎って呼べるんですよ。でも、あいつも“今さら何”って、びっくりしますよ」。

 12年8月23日の大阪桐蔭―光星学院の決勝戦から2534日目に、再び明暗は分かれた。「同期ですし、えぐいボール持ってるし。普通にやったら抑えられるとみんな思ってます。これからは抑えてくれると思う」。背番号19に向けた言葉は力強かった。
(遠藤 礼)

 ▽光星学院時代の北條と甲子園 11年の2年春から4大会連続で出場し、2年夏から3大会連続準優勝している。特に3年夏は4番で1大会4本塁打の活躍を見せ、2回戦・遊学館戦で9回に中越え2ラン。3回戦・神村学園戦の初回に左越え2ラン。準決勝の東海大甲府戦では初回の2ラン、4回のソロを2打席連続でバックスクリーンに運んだ。決勝では春に続いて対戦した大阪桐蔭・藤浪の前に4打数無安打に終わり、チームも0―3で敗れた。

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