感謝も…藤浪 299日ぶり1軍マウンドは8与四死球「自分自身を制御できない部分もあった」

[ 2019年8月2日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3―2中日 ( 2019年8月1日    甲子園 )

<神・中>初回無死、先頭打者の平田に四球を与え、フォームを確認する藤浪(撮影・坂田 高浩)
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 299日ぶりとなった1軍マウンドには、悔しさがにじんだ。今季初先発の阪神・藤浪は、4回1/3を投げて8与四死球と制球に苦しみながら1失点。粘投を展開したが、白星には手が届かなかった。それでも試合後は開口一番、虎党に「感謝」を口にした。

 「(大歓声には)ちょっとビックリしました。試合前のキャッチボールもそうですし、マウンドに上がる時も下りる時もすごい歓声をいただいたので、良い結果を出して恩返ししたかったですけど、その辺がちょっと…。自分自身を制御できない部分もあった」

 虎党の大歓声とともに、まっさらの甲子園のマウンドを踏みしめた。初球に投じた153キロ直球にスタンドが沸き返った。甲子園の95回目の“誕生日”に詰めかけた4万6274人の胸を、たった1球で躍らせてみせた。

 「テンションが上がって、やってやろうという気持ちが強すぎたかなと。もうちょっと冷静にスンナリ入れたら…。ちょっと力を抜くくらい、6割くらいの気持ちでやれたらと思います」

 強すぎた意欲が、先走った。初回から3与四球で2死満塁を招くと、2回以降も自らを制御できないまま毎回、得点圏に走者を背負った。それでも直球の球威とカットボールの切れで要所を締め、4回までは無失点。だが5回無死一、三塁からビシエドに犠飛を浴び続く阿部に四球を与えたところで交代を告げられた。

 3月12日に自ら申し出て2軍降格。約4カ月半の時間を費やし、再調整に努めてきた。一定の手応えをつかんで、上がった1軍マウンド。結果にこそ恵まれなかったが、随所に藤浪本来の投球を散りばめた。矢野監督も「課題をクリアしているとは思う。後ろに向いてることはない。前進してると思う。一旦抹消して、また次の晋太郎の姿を楽しみにしたい」と一定の評価を下した。

 きょう2日に出場選手登録を外れるが、後退ではない。完全復活へ向け、一歩を踏み出したマウンドだった。(惟任 貴信)

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2019年8月2日のニュース