やっぱりサイクル安打は結果の産物 “狙って単打”は至難の業

[ 2019年6月18日 12:05 ]

エンゼルス・大谷翔平(撮影・会津 智海)
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 13日(日本時間14日)のレイズ戦でエンゼルス・大谷が、日本人メジャー・リーガーで史上初となるサイクル安打を達成した。多くの日本人選手が「王手」をかけてきたが、シーズンで最も快挙に近づいた男がいる。2007年7月のオリオールズ戦に出場したホワイトソックス・井口資仁だ。

 「最後の打席は無理に打ちに行けばライト前ヒットにはできる球だった」。現在、現役を引退し、ロッテの監督を務める44歳はそう、振り返った。

 初回に先制の右翼線適時二塁打を放つと2回は右翼席に5号2ラン、6回は右中間三塁打。王手をかけた選手で一番、出やすいとされる「単打」残しは井口だけだった。ただ、8回の第4打席ではカウント3ボール2ストライクから9球目を見送り、四球を選んだ。「自分はボールを振るタイプの打者じゃないし、後ろへつなぐのが仕事だった」。当たり前だが、チームの勝利が最優先である。12年が過ぎた今も、手を出さなかった自分のプレーに後悔はない。

 もう一つ、意外な理由がある。「シングルヒットの方が難しいんですよ」。一瞬、聞き違いかと思ったが、顔は大まじめだ。「自分たちはしっかりとスイングし、球をとらえようとしている」。最初から単打を粘投に打席に入ったことがないから、狙って打つのは至難の業なのだ。

 「大谷も最後、少し詰まったからシングルヒットになった」。井口と同じく、最終打席で単打を残した大谷は、確かに初球からフルスイングでボールをとらえに行っていた。結果的に詰まった打球が中前に落ちた。もし、芯に当たっていれば柵越えしていたかもしれない。

 三塁打をわざと二塁で止まったり、二塁打の当たりで無理に三塁を狙うのはいささか、興ざめだ。「サイクル安打」は狙うものではなく、結果の産物なのだと改めて思った。(記者コラム・福浦 健太郎)

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2019年6月18日のニュース