楽天ドラ1辰己“プロ1号” 「野球バカ」が平石監督助言で目覚めた

[ 2019年2月18日 05:30 ]

練習試合   楽天6―3ロッテ ( 2019年2月17日    金武 )

2回無死二塁 辰己は左越え2ランを放つ(撮影・三島 英忠)
Photo By スポニチ

 「野球バカ」が目覚めた。楽天のドラフト1位・辰己涼介外野手(22=立命大)が17日、ロッテとの練習試合で2回に待望のプロ初安打を本塁打で飾った。フルスイングが持ち味だが、平石洋介監督(38)からアドバイスを受け、実戦9打席目にして逆方向へのプロ1号。座右の銘が「野球バカ」というルーキーが、豪快なスイングで旋風を巻き起こす。

 2回無死二塁。辰己は有吉の初球の直球を豪快に空振りした。焦る。その瞬間、前日の試合後に平石監督とやりとりしたことが脳裏に浮かんだ。

 平石監督 何をフルで働かせるのがフルスイングだ?

 辰己 バットのヘッドです。

 平石監督 だろう?お前は体ばかりフルスイングしているぞ。

 結果を求め、強く振ることを意識しすぎた。体も開く。目指すスイングではなかった。2球目。139キロ直球を今度は引きつけて逆方向へとはじき返した。実戦9打席目でのプロ初安打。高い放物線を描いて左翼スタンドへと舞い降りた。

 「1球目は大振りで、駄目なスイングだった。軌道修正できたのが本塁打につながった。練習通りに打てた」

 指揮官にアドバイスを受けた際、辰己は「結果、欲しいっス」と正直な胸の内も吐露した。「いいから、どっしりやれ」。そんな言葉に励まされ、6回にも中前打を放った。前日にはドラフト6位・渡辺佳(明大)が一発を打った。先を越されたドラフト1位は、ベンチに戻ると「お前に続けたわ!」と伝えた。ルーキーが競い合って連日のアーチ。平石監督は「なかなか逆方向に放り込めない。大したもの」と称えた。

 持ち味のフルスイングをさらに磨きたい。太りづらい体質の辰己は「体重を頑張って増やしてる。本当に食トレですよ」と、朝昼晩と栄養士の指導で必死に増量中。キャンプ期間では1キロ増の約75キロだが、未来を見据えて食べ続ける日々だ。

 「でも正直、ホームラン以外は内容が良くない。まだ大振りとフルスイングの境目が合致していないし、練習が足りていない」。趣味は「野球です」と言い切る愚直な男。座右の銘は「野球バカ」で、その4文字はグラブにも刺しゅうされている。野球バカ一代。辰己はこれからも振って振って、振り続ける。(鈴木 勝巳)

 【辰己 涼介(たつみ・りょうすけ)】

 ★生まれ 1996年(平8)12月27日生まれ、兵庫県出身の22歳。

 ★サイズ&投打 1メートル80、75キロ。右投げ左打ち。

 ★球歴 小1の時に神戸北リトルシニアで野球を始める。社では甲子園出場なし。立命大4年秋に首位打者。田口壮(関学大、現オリックス野手総合兼打撃コーチ)の123安打に次ぐリーグ歴代2位の122安打をマークした。ベストナイン4度。

 ★好物 ピーマン、なす。子供の頃は周囲にも苦手な子が多かったが「自分は意地を張って食べていた。そうしたら“おいしいな”って」。

 ★リラックス法 キャンプでは「とにかく寝ること」。ドラフト7位で同学年の小郷(立正大)と同部屋だが「ずっと寝ています」。

続きを表示

この記事のフォト

2019年2月18日のニュース