オリT―岡田“電光掲示板に当たらない打球”が順調な証し

[ 2019年2月9日 10:30 ]

打撃練習を行うオリックス・T−岡田
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 キャンプが始まってから、ほとんど記事にならない男がいる。オリックスのT―岡田だ。きょう9日で31歳。プロ14年目を迎え、野手としてはチームで上から3番目になった。もはやベテランの領域に入り、静かに黙々と練習している感じだ。

 そんなT―岡田が、8日はメニュー表にない午後の特打に姿を見せ、快音を響かせた。本来は7日にやる予定だったが、午後から降り出した雨のため中止。いや、7日もメニュー表に背番号「55」は記載されていなかったが、本人は「特打をするなら外がよかったので」と、打球の伸び具合などを確認するため、天候を見ながら日程調整していたようだ。その特打をじっと見ていたのが田口壮野手総合兼打撃コーチは「本当に順調じゃないですかね」とシンプルに表現した。理由を聞いて納得できた。

 「きょうは右中間に行く打球が非常に良かった」

 昨季終了後、2人は打撃のテーマを確認している。「Tはセンターに打てる打者。引っ張りだけじゃない。パワーをどの方向に出していくか、理想を話し合った」と田口コーチは説明する。その打撃を今キャンプ中は継続して練習。本来は中堅に向かって打球は伸びるのだが、「バットのヘッドの走りが良いんですよ」と笑顔で振り返る。つまり、バットが鋭く振れているので、多少早くボールをとらえ、そのため打球が中堅ではなく、右中間へ伸びていくのだという。本来なら電光掲示板にドカドカと当たる打球が、右中間の芝生に突き刺さるから素人にはなかなか気づかないのだ。

 その感覚を本人にも聞いてみた。「思ったより早いポイントになっていた。もう少しボールを見られるかな、とは感じました」。田口コーチと言い方は違うが、つまりバットが鋭く振れているので、とらえるポイントが若干前になり、右中間本塁打になる。これこそ順調な証だろう。こちらもワクワクする感覚だ。

 第1クール中に、T―岡田がテレビの共同インタビューで、こう答えていた。

 「僕の立場としては結果を残すしかない。4番にこだわりは全くないといえば、そんなことはないが、(4番は)結果的についてくるものだと思う。やるべき事をやるのが今は大事」

 キャンプはやるべきことをやる。それが結果につながり、気がつけば4番に戻っている。これが目指すべき道だ。

 第2クール中には11、12日に紅白戦が予定されている。チーム内競争を求められているので、もちろんT―岡田も出場するだろう。「感覚と結果をすり合わせていく。初めての実戦は、自分の体がどう反応するか。その反応を見ながら、その後でどういう練習ができるかです」と静かに語った。定位置争いはマレーロやメネセスといった強敵が相手だが、「周りを見ても仕方ない。自分のことをやりますから」と、やはり静かだ。派手なことを言わないから気がつかないが、闘志に火が付いているのは分かる。電光掲示板に当たらない打球のように、派手さはないが。 (オリックス担当・鶴崎唯史)

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2019年2月9日のニュース