阪神・藤浪、復活へ覚悟の19年 西&ガルシア加入も「競争に入って勝つ」

[ 2019年1月3日 06:52 ]

阪神・藤浪
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 阪神・藤浪晋太郎投手(24)は2日、今季に懸ける思いをスポニチに独白。24歳にしてプロでの「明」と「暗」を味わい、プロ7年目の2019年シーズンを野球人生を左右する1年と位置付けた。

 「この前18、19歳だったのに、もう(今年で)25歳かと。6年、早かったですね」

 瞬く間に過ぎ去っていった6年間は濃密で、明暗が際立った。

 「良い3年、悪い3年があって。(16年から)もう3年ダメなんで、本当に結果を出すだけ。やらないと年俸も下がるし、やれば上がる。プロの世界は分かりやすい。周りの評価も、見る目も成績で変わる。数字で示すしかない」

 入団3年で35勝を挙げ、年間平均で166イニングを消化した男が4年目(7勝、投球回169)を境に成績を落とした。昨季までの最近3年間は15勝。「制球難」のイメージが積み上げた実績を包み隠した。

 「人生の底っていうわけではないですけど、この3年、苦しかったことは間違いないです。ストレスもたまった。(高校時代を含めたプロ入り前も)割と、もがき苦しんできた人生ですが(この6年間で)十分、苦しんだかなと思います」

 試合序盤に崩れ、聖地に漏れるため息を全身で感じた。10代のころに受けた声援は、いつしか罵声に変わった。数字も付いて来ず、1軍のマウンドが当たり前ではなくなった。そんな苦境でも「腐ってはいけないと思ってやってきた」と逃げ道は作らなかった。前だけを向いた日々。聞こえてくる雑音にも揺れ動かない自分がいた。

 「余裕を持てるようになりましたね。今まで若い時だったらイライラして舌打ちしてたことも、今だったら“まあまあ”と。言われなくても分かってるよ、と思ったことも“そうやね”とか。言われすぎてなのか、年齢なのか。ただ、自分は苦しい経験をしたからだと思っている。いろんなことも言われるけど自分は自分らしくと思えるようになった」

 時に乱れ、激しく揺れ動いた6年を冷静に捉えられるからこそ「7年目」が、いかに重要な1年か自覚する。

 「体も技術もいろいろ仕上がってきて、経験もしてきて。脂も乗ってくる時期なんで、しっかりやらないといけない気持ち。良い軌道に乗るのか、悪いままズルズルいくのか。のるかそるか、本当にそんな1年だと思う」

 道のりは平たんではない。先発陣にはFA移籍の西、前中日のガルシア、メッセンジャーの3枠は固まった。「キャンプで競争に入って勝たないと話にならない。成績を残すとか言っている次元ではなくなる。枠が減ったから入れませんという投手ではダメなので」。ローテ争いが厳しくなることも覚悟する。

 昨秋キャンプではフォーム固めに腐心し、シーズンオフは親交深い武豊のプロデュースするジムを拠点に自主トレを敢行。「(昨年までと違い)こういう感触、タイミングで投げていれば、というのはある。それをいかに(シーズン通して)ひたすらできるか」と足場は固まりつつある。

 雌伏の時を経て、描く上昇の先には「理想」がある。「もともと、言葉とか姿勢でチームを引っ張ってやろうというタイプではない。数字でものを言わせるというか、語れるピッチャーになりたい」。言葉に一層、力を込めた。(遠藤 礼)

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2019年1月3日のニュース