イチ“特別”3054安打 「王さんに通じる」R・カルー超え

[ 2017年7月8日 05:30 ]

ナ・リーグ   マーリンズ3―4カージナルス ( 2017年7月6日    セントルイス )

カージナルス戦の8回、通算3054安打となる中前打を放ち、一塁へ向かうマーリンズのイチロー
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 イチローがまた金字塔だ。マーリンズのイチロー外野手(43)が6日(日本時間7日)、カージナルス戦に「7番・右翼」で7試合ぶりの先発出場。3打数2安打1四球で、メジャー通算3054安打とし、パナマ出身で20世紀後半にツインズ、エンゼルスで活躍したロッド・カルーを抜き歴代単独24位に浮上した。米国出身以外の選手としては通算最多安打で、同氏への敬意を込めて「特別な記録」と喜んだ。

 3054安打の意味も、イチローらしく位置づけた。米国出身者以外での歴代最多安打。「そこは重要なことではない」。日本で868本塁打をマークした王貞治氏(ソフトバンク球団会長)を引き合いに、カルー氏への敬意を口にした。

 「誰の記録かということが重要。ちょっと、王さんに通じるものが僕の中にはある。そういう意味で特別な記録、関わりですね」

 カルーの記録にあと1本で迎えたカ軍戦。2回、ワカのチェンジアップを左前にはじき返して肩を並べると、8回に超えた。先頭で左腕セシルのスライダーを中前へ。4月19日以来今季2度目のマルチ安打。トップの際にバットのグリップをできる限り残し、中堅から逆方向へ放った2安打は「腕をできるだけ頭の後ろに残せ」というカルーの技術論に通じるものだった。

 01年のメジャーデビュー以降、1メートル80の体格や打撃スタイルが酷似し、米国外出身者の共通点もあって何度も比較された。対面したのはマリナーズ時代。カルー氏も共感を覚え、昨年3000安打達成した際には人を介してイチローに手紙を送るなど交流があった。

 「(数年前に)実際に会った時もあふれる空気が、凄い僕のことを気に掛けてくれるのが伝わってきた」。イチローは、王氏と同じような野球人としてあるべき姿を感じた。「選手として凄い人はいっぱいいますけど(引退して)時間がたってからも“この人凄い”と思える人はなかなかいない。その意味でアメリカで会った人の中では強烈な印象を抱いた人」。タイ・カッブ超えの日米通算4192安打を放ったセントルイスで、また偉人を超えた。

 4、5月の月間打率1割台から6月は月間打率・273まで上げた。「先発だっていうことを前の日に初めて教えてくれましたから、それは助かりました」。準備を大切にするイチローだけに、7試合ぶりの先発出場で2安打に思うところはある。「機会があれば、そりゃ、どうにだってしますよ。それを言っちゃね。なかなか言いづらい」。復調の気配と手応えが、その言葉ににじんでいた。

 ▽ロッド・カルー 1945年10月1日、パナマ生まれの71歳。主に二塁、一塁を守った右投げ左打ちの内野手。67年にツインズでメジャーデビューし、打率・292、51打点、8本塁打で新人王に輝いた。77年には239安打で打率・388をマークしてア・リーグMVPを獲得。79年にはエンゼルスに移籍。67年から18年連続で球宴にも選出された。上体をかがめてバットを寝かせる独特のフォームで安打を量産。通算2469試合で打率・328、92本塁打、353盗塁をマーク。85年に引退し91年に殿堂入りを果たした。首位打者を7度獲得したこともあり、ア・リーグの首位打者は「ロッド・カルー賞」と呼ばれている

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