広島・薮田 緊急先発も動じず6回0封「チャンス巡ってきた」

[ 2016年9月1日 05:38 ]

<広・D>ファンとハイタッチをかわす薮田

セ・リーグ 広島3-0DeNA

(8月31日 マツダ)
 150キロの剛速球がうなりを上げた。2点リードで迎えた6回1死走者なしの場面。カウント2―2から、こん身の力を込めて投げた外角高め直球に、筒香のバットは思わず空を切った。広島の剛腕・薮田の真骨頂。ガッツポーズが自然に出た。

 「もう少し低めを狙っていました。高めに行ってしまったけど、威力があったと思います」

 プロ最長タイの6回を投げ、散発2安打零封。緒方監督をして「今日は薮田でしょう。まさか0点という最高の結果を残してくれるとは」と言わしめた今季2勝目は、試合開始直前に起きたアクシデントの産物だった。

 予告先発されていた福井が首痛を訴え、急きょ登板を回避。試合開始15分前の午後5時45分、ロッカーで着替えをしていた24歳は、畝投手コーチから突然“代役”を命じられた。スクランブル登板。「チャンスが巡ってきた」。薮田は燃えた。

 「とにかく、行けるところまで行こうと。中継ぎのつもりで毎回マウンドに上がり、ゼロに抑えることを意識した。落ち着いて投げられました」

 新人だった昨季は、プロ初星を挙げた7月1日の巨人戦を含め、6試合に先発。2年目の今季は12試合に救援登板してきた。転機は7月30日の昇格直前にあった。ツーシームをより生かそうと、投球プレートの踏む位置を三塁側から一塁側に変更。この日も決め球が効果的だった。発展途上でも底力は見せつけた。

 プロ入り最多115球の熱投で、鮮やかな先発2勝目。4回には右前へプロ初安打も放ち、「たまたまです」とはにかんだ。次回の登板は未定だが、薮田は「どんな形でも、いい投球を続けるだけ」と力強い。救世主。Vへラストカウントに入ったチームの緊急時に、存在がキラリと輝いた。(柳沢 元紀) 

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2016年9月1日のニュース