【キヨシスタイル】筒香VS山田 三冠王争いに「ワクワクするよ」

[ 2016年8月2日 09:25 ]

DeNAの筒香(左)とヤクルトの山田

 球宴が終わっても筒香嘉智(DeNA)の勢いが止まらない。たまらない。7月の月間成績は84打数36安打、打率・429、16本塁打、31打点。3冠部門のトップを独占していた山田哲人(ヤクルト)を一気に捉えた。

 最大10本差をつけられていた本塁打を32本として2本逆転しただけじゃない。気がつけば打率・333は2厘差、75打点も2差と山田に肉薄。3冠部門全てにおいて2人が1、2位で競り合う形になっている。

 2人で3冠王を争うって史上初じゃないかな。本塁打と打点の2部門を争うってのはよくあるけど、3冠まるごと。こんなレベルの高い選手が同時に出てくるなんてことがあるんだね。

 去年トリプルスリーを達成し、本塁打王、盗塁王を獲得してブレークした山田に、筒香が追いついてきた。ともに現在24歳。11月で25歳になる筒香が1つ上なんだけど、同年代で右と左のセ・リーグ2枚看板。2人の争いは長く続くよ。

 まずは今シーズンどうなるか。体格的にはどちらかというと線が細い方なのに、体全体を使うスイングで本塁打を量産してきた山田は今、疲れが出ている感じ。筒香の勢いにあおられているような気もする。7月はわずか4本塁打。「意識してない」と口では言ってもライバルの動向が気にならないわけがない。開き直って野球を楽しみ、シーズン序盤の自分に戻れるかどうかだね。

 今が絶好調の筒香はいずれ調子が落ちてくる。チームのクライマックスシリーズ出場も懸かってプレッシャーが大きくなってくる中、状態がよくない期間をいかに短くできるか。今はまだ侍ジャパンの「にわか4番」だけど、ここをクリアすれば、「日本の4番」として何年もやっていけると思うね。

 野球の神様はどんな筋書きを用意しているのかな。どっちかが3冠を独占するのか、2人で分け合うのか。あるいは他の誰かが割って入るか。ペナントの行方とは別物の後半戦の大きな楽しみ。ワクワクするよ。

 最後までレベルの高い3冠王争いをしてくれたら、プロ野球界にとってこんなうれしいことはない。同時に来年3月に行われるWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の侍3、4番は決まりだね。(本紙評論家・中畑 清)

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2016年8月2日のニュース