甲子園では好投手が競演 花咲徳栄152キロ左腕・高橋昂、素直さで飛躍の夏に

[ 2016年8月2日 11:00 ]

花咲徳栄の高橋昂

 7月31日に神奈川、大阪大会の決勝が終わり、夏の甲子園の出場全49代表校が出そろった。横浜、履正社、花咲徳栄、東邦、創志学園…好投手を抱えるチームがこれだけがそろい踏みする大会は過去にもそうなかっただろう。間もなくリオ五輪も開幕するが、甲子園も負けないぐらい熱くなると確信している。

 中でもこの夏、V字回復を遂げて一躍ドラフト1位候補に浮上したのが花咲徳栄の152キロ左腕・高橋昂也だ。決勝戦で久しぶりに高橋の姿を見たが驚いた。お尻から太腿にかけて別人のように大きくなっていた。軽く投げているように見えて、ものすごい伸びとキレ。わかっていても打てない直球を手に入れていた。

 8強に進んだ昨夏、すでにプロのスカウトが「今年でも間違いなくドラフトにかかる」と身を乗り出すように見ていた逸材。そんな声を聞いたのは、菊池雄星(花巻東、現西武)が1年夏の甲子園に登場した時以来だった。今夏埼玉大会では無双の存在で37回無失点とさらに凄みが増した。「高校生レベルではちょっと打てないと思う」とスカウトが目を丸くしていたのもうなずけた。

 今春センバツ前。まだ最速145キロだった高橋が、グラウンドで黙々とシャドーピッチングをしていた光景を思い出す。岩井隆監督の言葉を借りれば「とにかくマジメ。通常のピッチングに加えて、変化球の練習、課題練習…抑えなければずっと投げてしまう」。春に背筋を痛めたのも投げすぎが原因だった。一方で指揮官のアドバイスを真っすぐに受け止め、素直に実行する。そんな素直さが夏の飛躍につながったのも間違いない。

 だいぶシャイな性格らしく、報道陣に囲まれてしまうと窮屈そうにしているのがちょっと気の毒だ。NMB48・山本彩の大ファンで「部内でアイドル派は少数なので肩身が狭い」と苦笑いする顔はどこにでもいる17歳。横浜・藤平、履正社・寺島との競演が今から楽しみだ。 (松井 いつき)

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2016年8月2日のニュース