花園大初Vで全国切符!79歳西岡監督「グラウンドで死んでもいい」

[ 2016年5月27日 05:30 ]

花園大の西岡監督

京滋大学野球 花園大1―0大谷大

(5月26日 わかさスタジアム京都)
 最終節の2回戦2試合があり、花園大が大谷大を1―0で破り、91年の創部(93年加盟)以来、初優勝を飾った。3季連続最下位だったチームに今春から西岡義夫監督(79)が就任。伊香の監督として甲子園出場3度を誇る名将が万年最下位のチームを頂点へと導いた。花園大は6月6日開幕の大学選手権(神宮、東京ドーム)に初出場。1回戦で阪神大学野球連盟の関西国際大と激突する。

 孫ほど年の離れた部員の手で計6度宙を舞った。曇天の京都に満開の笑顔が広がる。輪の中心には79歳の名将がいた。伊香の監督として68年夏、73年夏、77年春の甲子園に出場。酒席や宴席での胴上げはあっても、グラウンド内での胴上げは実に39年ぶりだ。顔をくしゃくしゃにした指揮官は背筋をピンと伸ばしながら第一声を発した。

 「胴上げは夢にも思いませんでした。ごっつい、うれしい。80歳のおじいちゃんがラッキーなことに巡り合えました」

 緊迫した投手戦を制した。ベンチでは常に最前列に立ち、部員を鼓舞した。試合前の内野ノックは行うが、サインは学生コーチに任せている。自身は特別なことはしない。矢野主将は明かす。「よく言われるのは“自分たちで考え、気持ちを一つにする”ということ」。自主性を重んじる野球で万年最下位のチームは生まれ変わった。

 学長から監督就任の打診を受けたのは3月14日。大学構内の一室で思わず問い直した。「もう死にかけの老人で本当にいいんですか?」。長男・義徳さん(46)のひと言も決め手になったという。「50歳でもリストラにあう時代。絶対、引き受けなアカン」―。4月1日の就任からわずか56日で頂点に立った。

 近年は心臓のバイパス手術や前立腺がんの手術を受けたが、数え年で80歳の傘寿を迎えても体力的な衰えはない。趣味のゴルフは年齢より良いスコアで回るエージシュートが「何十回もあります」と笑った。大学選手権に出場が決まっているチームの中では最高齢の監督だ。「グラウンドで死んでもいい、その覚悟はあります」。名将に束ねられた花園大が大学野球の聖地へ乗り込む。  (吉仲 博幸)

続きを表示

2016年5月27日のニュース