広島 28年ぶり貯金独占 九里768日ぶり白星「最高です」

[ 2016年5月27日 05:30 ]

<広・巨>6回2失点で今季初勝利を挙げた九里

セ・リーグ 広島3―2巨人

(5月26日 マツダ)
 セ界の貯金を独り占め!広島は26日、巨人を3―2で下し、連勝を4に伸ばした。九里亜蓮投手(24)が6回2失点と試合をつくり、2―2の6回に安部友裕内野手(26)の犠飛で勝ち越し、このリードを守り切った。同一カード3連勝で、貯金は今季最多の7。セ・リーグの貯金独占(開幕直後を除く)は1988年5月24日以来28年ぶりで、2位・中日に3・5ゲーム差をつけた。

 仮にセ界の貯金通帳があったなら、緒方監督はニヤニヤが止まらないだろう。広島が開幕直後を除いてリーグの貯金を「独り占め」するのは、88年5月24日以来28年ぶりだ。勝利をたぐり寄せたのは3年目右腕・九里の奮闘だった。

 「最高ですね。まずはチームが勝てる投球を心掛けた。気持ちだけは相手に負けないように投げた。素直にうれしい」

 本拠地で初の白星&お立ち台。カクテル光線を浴びて、笑顔がキラキラと輝いた。初回1死三塁から坂本の右前打で先制点を献上。それでも「今、チームは打撃が本当にいい」と、援護を信じて投げ続けた。2~4回は打者9人でピシャリ。6回に一度は同点とされるも、その裏に勝ち越しの1点をプレゼントされた。6回4安打2失点。ルーキーだった14年4月19日DeNA戦(横浜)以来、768日ぶりの白星を手にした。

 前日に東都大学野球リーグで25度目の優勝を果たした亜大出身。自身の名前・亜蓮の「亜」の字が入る大学時代には、4年秋に6勝無敗の成績を残すなど通算19勝をマークした。入団1年目の14年には開幕2戦目、3月29日の中日戦(ナゴヤドーム)で初登板初先発で初勝利。しかし、そこからの足踏みが長かった。

 「1年目はひたすら勝ちに貪欲で、気持ちに焦りがあった。今年は落ち着いている。自分の持っているものを出して、チームの勝ちにつながるようにと思っている」。個人よりチーム。0勝だった昨季を「ふがいない一年」と振り返るが、回り道は無駄ではなかった。フォア・ザ・チーム。メンタル面の成長が、今の九里の支えでもある。

 「GO HARD OR GO HOME」。帽子のつばの裏に書かれた言葉だ。「やるか、やられるかです」。オフには投手陣の精神的支柱でもある41歳の黒田と米ロサンゼルスで自主トレ。3年目を迎え、一回りたくましくなった姿でマウンドに立っている。

 0・5ゲーム差で迎えた巨人との首位攻防3連戦で3連勝。2位以下には3・5ゲーム差をつけた。今季2度目の4連勝で貯金は最大の7。セ界の貯金を独り占めと、カープが旋風を巻き起こしている。「これからもチームの勝ちに一つでも多く貢献したい」。そんな九里のような男がいるからこそ、今季の躍進がある。

 ▼広島・緒方監督(九里は)先発としてしっかり仕事を果たしてくれた。次回も(磯村との)あのバッテリーでまた行ってもらいましょう。

 ◆九里 亜蓮(くり・あれん)1991年(平3)9月1日、鳥取県生まれの24歳。岡山理大付では甲子園出場なし。亜大では2年秋からリーグ5連覇を達成し、13年ドラフト2位で広島入団。1年目の14年3月29日の中日戦(ナゴヤドーム)でプロ初勝利を挙げた。父は米国人で、ブレーブスの元マイナー内野手のマーク・アントニオ・シェックさん。1メートル87、92キロ。右投げ右打ち。

 ≪4月以降28年ぶり≫広島が巨人に3連勝。対巨人戦同一カード3連戦の3連勝は、昨年8月7~9日(東京D)以来で、本拠地マツダでは昨年5月4~6日以来。また、この日の結果、広島は今季最多の貯金7となり、2位の中日以下は全て勝率5割以下になった。広島の貯金独り占めは、03年3月29日(開幕2戦目)以来だが、4月以降となると、88年5月24日に
 順 球団 勝―敗  分  勝 率 
(1)広島20―11(2)・645
(2)巨人17―17(1)・500
(3)阪神16―17(1)・485
(4)大洋15―17(2)・469
(5)中日14―16(2)・467
(6)ヤク13―17(2)・433
 として以来28年ぶり。

 ▼88年の広島 阿南監督3年目。86年に山本、87年に衣笠と大物2人が現役引退し、再出発を図ったシーズンだった。前半は好調だったが、6月に6連敗すると首位から転落。最終順位は3位。正田が打率・340で首位打者、大野が1・70で最優秀防御率のタイトルを獲得した。

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