侍ジャパン「11月の強化試合」の位置づけをはっきりすべき

[ 2016年3月13日 09:30 ]

台湾と強化試合を行った侍ジャパンのメンバー

 侍ジャパンの強化試合・台湾戦は5日のナゴヤドーム、6日の京セラドームともに、満員に近い客の入りで、選手もヘッドスライディングを見せるなど、勝負への真剣度を感じさせた。

 特に昨年11月に行われたプレミア12でメンバー入りしなかった菊池(広島)や銀次(楽天)、初招集組の秋吉(ヤクルト)戸根(巨人)清田(ロッテ)ら「WBCでも代表を」というモチベーションの高さは、称賛してもしきれない。

 NPBエンタープライズの今村司社長は「昨年のU―18でのオコエ選手(楽天)や清宮選手(早実)をはじめとした甲子園で活躍した選手の頑張りから、プレミア12の盛り上がりがあった。侍ジャパンというブランド力も向上していると感じさせてくれる」と控えめながら話す。常設化されて3年が経過した。さらに「侍ジャパン」を上昇させ、安定飛行に入るために、11月に予定される強化試合にいかにつなげていくかが重要になる。

 来年3月には第4回WBCが行われる。世界一奪回を期す本番の4カ月前。11月は「本番前に少しでも休みたい」と考える選手もいるだろう。シーズンを戦い抜いた疲労を抜いて、3月に向け、早めに準備を行うために、休養は絶対に必要だ。だが、それでは11月の試合にベストメンバーは組めないどころか、本番に選出されないメンバーばかりの試合になる。

 野球界に携わる全員で知恵を絞る必要があるが「11月の強化試合」の位置づけをはっきりすべきであろう。特に「WBCの前哨戦」と位置づけるのであれば「11月の選考メンバーがそのままWBC本戦のメンバーになる」という基本姿勢を打ち出してもいい。本番へ向けたチームづくりとして、数日間合宿を経て試合に入る。招集も強化試合に出場する28人に固定するのではなく、35人程度呼んでもいいと考える。シーズンの疲労を考慮し、試合に投げない投手がいてもいい。「強化合宿」を組み込むことで、オフの過ごし方へのモチベーションや、本番へ向けたチームの意識づけも進むのではないだろうか。

 せっかく侍ジャパンが軌道に乗り始めたのだから、記録面の充実も図ってほしいと思う。日本代表で誰が一番、日の丸をつけて出場しているのか。最多勝は?最多本塁打は?部門別ランキングを侍ジャパンの公式サイトに記していく。プロが参加するようになった00年のシドニー五輪以降でも構わない。侍ジャパンでの記録をリスペクトされるようになれば、さらに「代表の価値」は高まる。将来的には公式記録集の中に、ぜひ「日本代表記録」の項目がほしい。

 17年のWBCの先には、20年東京五輪もある。将来へ、いい流れを継続してもらいたい。(記者コラム・倉橋 憲史)

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2016年3月13日のニュース