同世代のピン芸人に教えられた「とにかく○○」があれば生き残れる

[ 2015年9月28日 09:15 ]

ブレーク中のとにかく明るい安村

 ブレーク中のお笑い芸人、とにかく明るい安村がスポニチ本紙野球面に登場した。ソフトバンク・明石と中学時代にチームメートだったことから、リーグ優勝を報じる9月18日付紙面でインタビューを掲載した。海パン一丁で全裸に見えるポーズを取り「安心してください。はいてますよ」という決めゼリフ。芸名とネタがここまでマッチしている人はいない。

 とにかく明るい安村は元高校球児。旭川実で99年夏の甲子園に出場し、伝令役を務めた。高校野球を見ていると、伝令はベンチの指示を伝えるだけでなく、プレーする選手の緊張を和らげる役割も担っているように思える。負けたら終わりの緊張感の中で選手を笑わせるのは簡単ではない。その「明るさ」はお笑いにも生きているのだろう。

 私も記者になる前はコンビの芸人だった。10年程前は「お笑いブーム」の中でネタ番組も今より多かった。とにかく明るい安村は当時「アームストロング」という正統派コンビを組んでいた。若手の登竜門のようなネタ番組やコンテストで何度も共演した。今回直接取材したわけではないが、インタビューする記者に頼み、芸人時代に共演したことを伝えてもらった。すると、向こうも覚えていて「安心して下さい。新聞読んでますよ」とメッセージをくれた。

 アームストロングは人気があった。過去に爆笑問題やブラックマヨネーズも受賞して売れるきっかけの一つとなった「NHK新人演芸大賞」も、10年に受賞している。人気と実力を兼ね備えていたが、昨年解散した。そして、ピン芸人になって大ブレーク。芸人が売れるためには「とにかく○○」という、飛び抜けた何かが必要なのかもしれない。私の元相方は東大を中退して芸人になった。ただ、最近は高学歴芸人も珍しくないため、「とにかく賢い」と売りにすることはできなかった。

 プロ野球でも「とにかく○○」があれば生き残れる。巨人・鈴木は「とにかく速い」足のスペシャリスト。「とにかく飛ばす」「とにかく守れる」。どの世界でも「とにかく○○」と言い切れる武器を見つけることが大事だと思う。同世代のピン芸人に教えられた。(渡辺 剛太)

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